(※写真はイメージです/PIXTA)

老後生活の基盤となる公的年金だが、実際には50万人もの「年金ゼロの人」が存在する。また一方で、少子化の進展から年金額はさらに減少していく可能性が高い。このような厳しい状況下、自身の老後生活を守るにはどのような選択肢があるのだろうか。

年金ゼロ円の高齢者、50万人以上も

近年、高齢者の犯罪率が増加傾向となっている。法務省の『令和4年版犯罪白書』によると、令和3年の高齢者の刑法犯検挙人員において、高齢者は全年齢層と比較しても窃盗の構成比が高いが、なかでも女性高齢者は約9割が窃盗であり、そのうち万引きによる構成比が約8割にものぼる。

 

出所:法務省『令和4年版犯罪白書』
[図表] 刑法犯 高齢者の検挙人員の罪名別構成比(男女別) 出所:法務省『令和4年版犯罪白書』

 

高齢者の犯罪の背景には、しばしば経済的困窮がある。

 

マスコミ報道でも「無年金の高齢者」の存在がしばしばクローズアップされているが、実際、厚生労働省の調査によると、50万人以上もの無年金者が存在するという。65歳以上人口が3,600万人程度であることから、無年金率は1.3%程度。つまり、日本の高齢者の100人に1人は無年金状態なのである。日本は国民年金に強制加入であることから、完全なる無年金の高齢者はいないと思われがちだが、実情は違うようだ。

 

◆年齢別「年金収入なし」の人数

 

65~69歳:26,108人

70~74歳:29,993人

75~79歳:153,699人

80~84歳:125,911人

85~89歳:93,784人

90~94歳:55,914人

95~99歳:30,132人

100歳~:6,262人


出所:厚生労働省『令和3年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』より

 

厚生労働省によると、厚生年金受給者の平均年金額は14万5,665円、国民年金受給者は平均5万6,479円。これが老後の生活資金となるわけだが、これが一切ないとなれば、当然だが生活はできない。もちろん、無年金であっても、生活を支えてくれる家族がいる、生活の糧となる潤沢な資産を保有している、といった人もいるだろうが…。

 

日本国内に居住する20歳以上60歳未満の人たちは、国民年金に加入しなければならない。だが、年金保険料の払込期間が10年(120カ月)に満たないと、国民年金は受給できない。

 

この要件を満たせない主な理由としては「お金がなく保険料が払えなかった」「海外生活に居住していて保険料を払わなかった」「保険料を払う意思がなかった」があげられるだろう。

 

だが、60歳を超えていても、60~70歳までは国民年金に任意加入することが可能だ。もし払込期間が足りないならこの制度を利用し、要件を満たしておくことをお勧めする。

無年金の人が「いまからできる」対応策

じつは、昭和36年4月~昭和61年3月まで、国民年金への加入は任意だった。いまの高齢者に無年金の人が多いのは、これが理由のひとつだと考えられる。現在は任意加入といった対策も効果を発揮し、無年金の人は減少傾向だが、いまの現役世代には、また違う問題が残されている。

 

2023年度の年金額だが、6月に支給される分から増額になることが報じられた一方で、物価上昇から、実質的には減額といわれている。このような「一見増額だが実質減額」というパターンは、今後も継続するかもしれない。

 

また、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合かを示す「所得代替率」だが、2040年代には2割減となる予測もある。つまり、現在の年金水準より2割程度の減額となるかもしれないのだ。

 

少子高齢化の進展から「無年金時代の到来」を懸念する声もあり、状況は非常に厳しいといえる。

 

では、もしいま、あるいは将来無年金である場合、どのような対応策があるのだろうか? 下記にできることと、選択肢をまとめてみた。


無年金の場合…「高齢者」の対応策

年金も蓄えもない高齢者の場合、家族がいるなら、思い切って家族に頼る方法もある。子どもに扶養してもえば、子ども側も扶養控除が受けられるというメリットがある。あるいは、健康なら働いて収入を得る。職場で厚生年金への加入ができれば、さらに年齢を重ねたとき、年金が手にできるかもしれない。養ってくれる人がなく、自分でも働けないなら、生活保護も選択肢だ。生活保護には受給条件があるが、承認されれば、最低生活費と収入の差額分の支給される。

 

無年金の場合…「現役世代」の対応策

時間を味方にして、資産形成を進めるのが最善の方法だろう。資産形成をサポートする制度は年々充実している。つみたてNISAやiDeCoなどを活用するのもいいほうほうだが、投資である以上、元本割れのリスクもあることに留意したい。

 

年金に頼らず生きていけるだけの資産形成ができれば、不安定な世の中でも「老後の安泰」は約束される。できるところから着手し、少しでも将来への不安を軽減しておくことが大切だ。

 

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