「うちの子は勉強しているのに成績が上がらない」「あの子は勉強しているように見えないのにいつも成績がいい」と感じたことはありませんか? 実はわかりやすい授業ほど、子どもの可能性を奪っているとしたら――。本連載では、どんな子どもでも人生を切り開く力をつけられる独自の「思考型」教育について説明します。

できる子は「考え抜く力」を持っている

「うちの子は勉強しているのに成績が上がらない」と、反対によその子を見て「あの子は勉強しているように見えないのに、いつも成績がいい」と感じたことはありませんか? 同じ授業を受けているはずなのに、どうしてこんなに差が出るのか、と。

 

小学校中学年から高学年にかけての子どもを持つお父さん、お母さんにとっては、中学受験を考え始める時期でもあるため、特にそのような意識が強くなるのではないでしょうか。

 

半世紀近く子どもたちを教えてきた筆者の経験の中でも、印象に残るほど優秀な生徒がこれまでに数名いました。彼らは小学校の段階ですでに、他の子どもたちとは明らかに違っています。

 

必死になって受験勉強をするわけでもないのに、日本でもトップレベルの難関中学にすんなりと合格してしまう。中学に入ったら勉強一筋になるのかといえば、そうでもない。むしろクラブ活動や趣味に打ち込む青春時代を過ごしながら、さして苦労することもなく、その後は東大や京大に合格していく。実際にそういう子がいるのは事実です。

 

もちろん、彼らもそれなりに勉強はしています。受験では暗記科目もあり、何かを覚えるためには繰り返し学習することが必要となるからです。けれども数学や物理、現代国語など考える力さえあれば解ける科目については、ほとんど苦労しません。

 

なぜ差が出るのか。一体何が違うのか。

 

ひと言でいえば東大や京大のようなトップ校に楽に合格する子どもは必ず「自分で考える習慣」を持っています。難問にぶち当たっても諦めず、集中力を持って考え続けられる力を持っているのです。

 

彼らは身動きもしないでずっと問題を見続け、問題をとことん考え抜き、やがて解いてしまう。そして、根気よく考えれば問題が解けることを知り、自信を持ちます。小学生の頃から偶然なのか、性格なのか、あるいは人から教わったのか、いずれにしても自分で考える習慣を身につけていて、考え抜く力を持っているのです。

日本の学校教育は「覚える」ことを重視しているが…

では、多くの子どもたちに、なぜ、こうした「考える習慣」がないのでしょうか。それは日本の学校教育が「考える」ことより「覚える」ことを重視しているからです。

 

本来、学習とは、学習する内容そのものを知識として習得すると同時に、その内容を習得する方法を知恵として身につけることで成り立つものです。だとすれば、今の教育は知識偏重主義、とにかく知識を与えることに重点をかけ過ぎなのではないでしょうか。

 

その典型が、小学校での算数教育に表れています。算数教育の本来の目的は、計算能力を身につけることではありません。あるいは公式を覚えて、問題を解けるようになることでもありません。長い時間をかけてでも、ものごとを筋道立てて考える力を養うことこそが、算数を学ぶ真の目的なのです。

 

一見したところ、とても解けそうにないような難問に対して、ひたすらに考え抜いて、最後には答えを導き出す。「思考力」を鍛える学問、それが算数なのです。

東大・京大に合格する 子どもの育て方

東大・京大に合格する 子どもの育て方

江藤 宏

幻冬舎メディアコンサルティング

「うちの子は勉強しているのに成績が上がらない」、「あの子は勉強しているように見えないのにいつも成績がいい」と感じたことはありませんか? 実はわかりやすい授業ほど、子どもの可能性を奪っているとしたら──。 40年に…

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