(画像はイメージです/PIXTA)

かつては自宅葬も多かった日本ですが、いまはさまざまな専用施設でおこなわれています。選択肢として、集会場や公営民営のセレモニーホール、寺院、斎場など複数ありますが、それぞれメリット・デメリットがあるため、よく理解せずに選択すると、想定外の問題が発生するなどのリスクもあります。チェックポイントを解説します。

自宅:近年ではまれ、実施する場合は近隣への配慮が不可欠に

お葬式を執り行う場所を「斎場」あるいは「葬儀場」といいます。要するに、お通夜、葬儀式、告別式など、葬儀の儀式全般を行う場所のことです。

 

いまでも地方では、自宅で葬儀を執り行うケースが見られますが、そもそも日常生活を送っている自宅に、親族や宗教者など、ある程度の弔問客を招き入れるわけですから、動線をどうするのかによって部屋の間仕切りをしている戸を外したり、あるいは家具を移動させたりするなど、大変な手間がかかります。

 

その分、式場料金が不要になるため、葬儀にかかる料金を幾分か抑えられるほか、やはり故人がいままで生活していた場所で偲ぶことができるのは、自宅葬のメリットのひとつともいえるでしょう。

 

しかし、そのメリットをもってしても、最近は自宅葬を執り行う遺族が減っています。前述したように手間がかかることや、ある程度の弔問客を招き入れることのできるスペースが必要であること、場所によっては参列者や弔問客が迷わないように案内する必要があること、あるいは近隣住民への配慮が必要であることなど、ハードルが高いこともあり、自宅以外の場所で葬儀を執り行うケースが主流になってきているのです。

公営セレモニーホール:安価だが、雰囲気は簡素なものに

では、自宅以外の葬儀場はどこになるのでしょうか。

 

自宅に次いで、比較的安価に出来るのは集合住宅などの「集会場」や「市区町村が運営する公営のセレモニーホール」などです。もちろん地域によって金額は異なりますが、使用料金は数千円~数万円程度で済みます。自宅に比べると機能的に葬儀を執り行うことができますが、そもそも集会場は葬儀を行うための施設ではないため、準備に労力がかかります。また、住宅地の中にあるケースも多いので、自宅で葬儀を行うのと同様、近隣住民への配慮が必要になります。

 

公営セレモニーホールは自治体によって運営されている施設なので、葬儀に適した施設ですが、料金は比較的安めな反面、利用制限が多少きつめで融通が利きにくい面があります。場所の利用料金としては5~20万円ぐらいに設定されていることが多く見られます。

 

ただ、やはり公営ならではといってもいいと思うのですが、施設の造りは簡素です。したがって、お葬式に荘厳な雰囲気を求めると「ものたりない…」ということになりがちです。また、使用するにあたって利用規約の遵守を求められるため、一般的な葬儀社のセレモニーホールに比べて利用時間も短めになります。

寺院:荘厳な雰囲気だが、立地&ご遺体の安置場所に懸念あり

次にお寺ですが、なんといっても寺院の厳かな雰囲気のなかで葬儀を執り行えることに加え、有名な寺院で葬儀を執り行えることのステータスに付加価値があります。使用料金はやや高めで、20~50万円くらいかかりますが、雰囲気やその後の法事のことも重視したいという場合には、他では得られない偲ぶ空間となるでしょう。

 

ただし、和室が基本になるので、正座しなければならない場面が生じる可能性があります。最近は椅子の生活が主流になっていて、正座を苦手とする人が増えているので、弔問客などにも負担を強いる場合があります。

 

また、お寺は駅前など交通の便のいいところにはなく、基本的に駅からバスなどの公共交通機関、あるいは自動車などで移動しなければならない立地のところが多いので、これも弔問客にとっては負担になります。なお、ご遺体の安置や面会が困難なケースもあります。

総合斎場:移動がラクで、コストも少なめ

葬儀の専用施設としては「総合斎場」や「葬儀社のセレモニーホール」があります。

 

総合斎場とは、式場と火葬場が一体になった施設で、利用料金としては10~50万円です。式場から火葬場への移動が楽というメリットがあります。当然、霊柩車や参列者用のマイクロバスも必要ないので、その分だけコストが削減できます。

 

デメリットは、まず立地でしょう。火葬場の立地を考えれば、駅前や街中にはないことが多いので、どうしても交通の便が悪くなります。また、火葬場は常に複数のご遺体が運び込まれるので、複数のお葬式が同時進行されるケースもありえます。加えて、マイクや音楽など音響設備の使用に制限があったり、控室に区分けがなくて親族、参列者、お坊さんが一緒の部屋になったりすることもあります。

 

こうしたデメリットはあるものの、利用者が多いのも事実で、予約が取りにくいことも想定しておく必要があります。

葬儀社のセレモニーホール:動線の整備がされ、使い勝手がいい

そして最後に、葬儀社の持つセレモニーホールですが、使用料金は比較的リーズナブルであることが多く、大体10~20万円というところです。

 

葬儀社のセレモニーホールの場合、公営のそれほど利用規約についてはうるさく言われません。規模や参列者の人数に合わせた間仕切り調整が行えるだけでなく、親族や一般参列者、お坊さんなどの宗教者の専用控室も用意されています。また、比較的立地が良く、駅前に建てられているセレモニーホールも多く、個室の安置室も設けられている場合もあるので、故人と最期の時をゆっくりと過ごすことができます。

 

葬儀の専用施設で配慮が行き届いていることが多く、受付~お帰りまでの動線も整備されているなど、偲ぶことに集中できる心配りがなされています。セレモニーホールが複数ある場合には、比較検討して利用の是非を判断することをおすすめします。

 

このように、葬儀場といってもさまざまな場所があります。予算、参列者の人数などをしっかりと踏まえたうえで、最適な葬儀の場所を選ぶことが大切です。

 

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