(※写真はイメージです/PIXTA)

「台湾有事」が懸念されるようになってしばらく経ちます。一部では、中国は「2024年」または「2027年」に侵略を決行するのではという説も囁かれています。しかし、元陸将の渡部悦和氏と井上武氏、元海将補の佐々木孝博氏は、中国は「当面慎重に判断するのでは」と予想しています。はたしてその根拠とは、みていきましょう。※本連載は、渡部悦和氏、井上武氏、佐々木孝博氏の共著『プーチンの「超限戦」その全貌と失敗の本質』(ワニ・プラス)より一部を抜粋・再編集したものです。

2024年?2027年?…「台湾有事」はいったいいつ起きるのか

渡部 結論として、台湾有事の時期はどうなるのかが注目されます。私は、露宇戦争におけるプーチンの失敗により、中国の台湾攻撃の時期は遅くなると推測します。

 

中国の台湾攻撃の可能性のある年として2024年や2027年(解放軍創立100周年の年)が挙がっています。2024年は、台湾総統選挙と米大統領選挙が行われる年です。台湾総統選挙で民進党が3期連続で勝利し、中国がこれを台湾独立の動きと見なし、なおかつ米大統領選挙が混迷した場合に、中国が台湾攻撃をするという説です(※2)

※2.峯村健司ほか『ウクライナ戦争と米中対立』幻冬舎新書(2022年9月21日)

 

私はこの2024年説を完全に否定するつもりはありませんが、無理があると思います。

 

民進党は現状維持派です。総統選挙で勝利しても、独立の言質を中国に与えないように極めて慎重に対応するでしょう。

 

また、2027年説にも言えることですが、人民解放軍の揚陸能力は不十分なままでしょうし、露宇戦争におけるロシアの失敗が、中国の台湾攻撃をより慎重にさせると思います。

 

「今日のウクライナ、明日の台湾」と言う人がいます。

 

たしかにそういう一面はありますが、ウクライナと台湾の戦略環境には大きな違いがあります。ウクライナは大陸国家です。そのため戦争は陸戦が非常に重要で、戦争の帰趨を決定する要素になります。

 

一方、台湾は島国であり陸戦も重要ですが、海戦、空戦がより重要になってきます。つまり、陸海空の統合作戦が露宇戦争と比較にならないくらいに重要になります。

 

また、中台戦争もオール・ドメイン戦にならざるを得ないので、宇宙戦、サイバー戦、電磁波戦、情報戦、経済戦など多くの戦いが混用されることになります。オール・ドメイン戦を遂行するためにはまだ能力が不足していると中国当局は再認識したと思います。

 

佐々木 私も渡部さんの評価に賛同します。露宇戦争から中国は数々の教訓を学んだと思います。それらの課題が解消できるまでは台湾侵攻の判断はできないのではないかと思います。

 

 

渡部 悦和

元陸上自衛隊陸将

 

井上 武

元陸上自衛隊陸将

 

佐々木 孝博

元海上自衛隊海将補

 

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※本連載は、渡部悦和氏、井上武氏、佐々木孝博氏の共著『プーチンの「超限戦」その全貌と失敗の本質』(ワニ・プラス)より一部を抜粋・再編集したものです。

プーチンの超限戦 その全貌と失敗の本質

プーチンの超限戦 その全貌と失敗の本質

渡部 悦和 井上 武 佐々木 孝博

ワニ・プラス

2022年6月、ワニブックス【PLUS】新書として発刊され好評を博した『ロシア・ウクライナ戦争と日本の防衛』の続編が、読み応えある単行本として登場。3人の自衛隊元幹部が、プーチンとロシアが行っている戦争を「超限戦」と捉え…

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