(画像はイメージです/PIXTA)

決算書が読めると、会社の強みや問題点・改善すべき点などがわかります。一見難解ですが、実は計算式や専門用語がなくてもわかります。エンジニアから畑違いの「総務・経理管掌」の取締役に転身し働くなかで考案した「風船会計メソッド」で特許を取得し、大学の客員教授も務める松本めぐみ氏が著書『知識ゼロでも分かる 風船会計メソッド』より解説します。今回は目から鱗が落ちる「損益計算書」の読み方です。

◆「イラスト化」するとアイデアが出しやすくなる

風船で表すことによって、「F製品はコーヒー豆にお金を使い過ぎているみたいだから、もう少し安い豆に変えてみようかな」、「A製品は風船が高く浮き上がっているけれど、まだまだ大きさは小さいから、利益と費用のバランスを変えないようにしながら売上拡大してみようかな」といったアイデアが次々と出てきます。

 

このアイデア出しは、部署や役職に関係なく誰でもできます。風船というメタファーを使うことによって、誰にも忖度する必要なく意見が言えるのです。

 

まずは自社の売上や費用を風船に置き換えることから始めてみましょう!

 

「風船」と「気球」

◆ヘリウムガスを「気球」に移していく

風船にどんどんヘリウムガスがたまってきたら、そのガスを今度は「気球」に移していきます。この気球には、あらかじめ「固定費」という重りが入っています。この固定費は売上の大きさに関係ありません([図表5]参照)。
 

コーヒーの売れた数が0杯のときも、10杯のときも100杯のときでも、この重りの大きさ(費用)は変わらないのです。変わらないため、固定費といわれます。

 

頑張って風船を膨らませ、ヘリウムガスを増やしてこの気球をどんどん浮かせてこそ、自社の経営がうまくいくというわけです。

 

◆「トントンポイント」を超えると気球が上がる

[図表5]をもう一度ご覧ください。風船のヘリウムガスが気球に集まり、気球が浮くまでをイメージしたものです。

 

[図表5]「風船」のヘリウムガスを「気球」へ移す

 

①の風船単体では売上と変動費しか考えていませんが、②の気球からは固定費も加味されています。②のように固定費と限界利益が一致しているところが「トントンポイント(損益分岐点)」。ここを超えると、③のように気球が浮き上がります([図表6]参照)。

 

[図表6]「トントンポイント(損益分岐点)」の仕組み

 

決算書には、どれが変動費と固定費に該当し、合計がいくらなのかなどは記載されていません。そのため決算書を経営に活かすための資料にするのにはちょっとした工夫が必要です。

 

決算書を眺めて、経費の科目一つひとつをチェックして変動費と固定費に色分けしてください。そして、変動費を風船の中、固定費を気球の中に入れて大きさのバランスを見てください。

 

風船の中、気球の中に重りを分けて書くことによって何をどうすればいいのかみんなからアイデアが出てきます。

 

最後に、「トントンポイント(損益分岐点)」の計算式を紹介しておきます。「固定費÷限界利益率」で表現されます([図表7]参照)。

 

[図表7]「トントンポイント(損益分岐点)」の計算式

 

この「トントンポイント」が自社の場合いくらなのかを計算し、知っておくことが非常に大切です。そして、その金額はぜひ全従業員と共有してください。

 

 

松本めぐみ

松本興産株式会社 取締役

情報イノベーション専門職大学 客員教授

知識ゼロでも分かる 風船会計メソッド

知識ゼロでも分かる 風船会計メソッド

松本 めぐみ

幻冬舎メディアコンサルティング

風船、豚の貯金箱、お化け……ビジュアル化すれば、ややこしい会計が誰でも分かる! 会社の経営改善にもつながる唯一無二の会計メソッドを徹底解説! 経営において「会計」は避けて通れないものであるだけでなく、経営を…

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