「2,500円の原価割れ」なのに「3,500円の利益」が出るのはナゼ?決算書類からは絶対に読めない「納得の理由」【公認会計士が解説】

「2,500円の原価割れ」なのに「3,500円の利益」が出るのはナゼ?決算書類からは絶対に読めない「納得の理由」【公認会計士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者・ビジネスマンにとって「会社の数字を意識して動けるか」は非常に重要ですが、それは「決算書類を読める」こととはまったく違います。本記事では、「IT」に精通した公認会計士で、会社の利益の最大化という見地からの「会社の数字」の読み方を提唱する金子智朗氏が、著書『管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング』(PHP研究所)から、「会社の数字」の合理的な読み方を解説します。

原価割れでも受注すべき?

◆原価2万円の製品を1万7,500円で買いたいという顧客からの連絡

製品を販売した場合の「原価」と「利益」の関係について考えてみましょう。

 

C社では、製品Yを受注製造し、1個2万5,000円で販売しています。

 

製品Yの1個当たり原価は2万円で、その内訳は[図表1]のようになっています。

 

[図表1]製品Yの1個当たりの原価の内訳

 

直接材料費は、製品Yの製造に用いる材料の費用です。直接労務費は、製造に直接携わる正社員の人件費です。製造間接費はすべて固定費とみなせます。

 

【演習問題】

今、新しい顧客から製品Yを1個発注したいとの問い合わせがありました。

 

ありがたい話なのですが、この顧客は「1個2万5,000円はちょっと高いので、30%引きの1万7,500円で売ってくれないか」と言ってきました。

 

この顧客からの注文は受けるべきでしょうか?

 

なお、C社の生産能力には余裕があり、この顧客からの注文は現在の生産能力の範囲内で対応できる状況です。

これで売ったら原価割れだが……

製品Yの原価は2万円なので、顧客の要求通り1万7,500円で売ったら原価割れです。粗利の段階で赤字になりますから、売れば売るほど赤字が膨らむだけです。

 

……と、多くの人は言います。果たして、原価割れでは売ってはいけないのでしょうか? 売れば売るほど赤字が膨らむのでしょうか?

 

まず、比較するのは、「注文を受ける場合」と「受けない場合」です。

 

また、原価を「直接材料費」、「直接労務費」、「製造間接費」の3つに分けます。その上で、何が変わるか、変わらないかを見ていきましょう([図表2])。

 

[図表2]原価2万円の製品Yを1万7,500円で受注すると…

 

受注しなければ売上高は0円ですが、受注すれば、満足のいく水準ではないかもしれませんが、1万7,500円の売上高が立ちます。

 

「直接材料費」は、受注製造なので、受注しなければ製造もしませんから、発生しません。受注すれば製造するので1万4,000円発生します。

 

「直接労務費」と「製造間接費」は、生産能力に余裕がありますから、受注してもしなくても総額は変わりません。

 

ということは、[図表2]から分かるように、受注しないより受注した方が、売上高も「直接材料費」も増える結果、利益は3,500円増えます。赤字が膨らむどころか、利益が増えるのです。

 

もちろん、値下げしたことが他の顧客に知られる心配や値崩れのリスクはありますが、そのようなリスクに対する対策を講じるとすれば、受注しないより受注した方がいいということになります。

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管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

金子 智朗

PHP研究所

その仕事は外注すべきか、値下げすべきか、この事業から撤退すべきか。 合理的、戦略的に判断をくだす「数字で考える」トレーニング

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