「損益計算書」から企業の“安全性”がはっきりわかる「4つの利益率」の読み方【人気簿記講師(税理士)が解説】

「損益計算書」から企業の“安全性”がはっきりわかる「4つの利益率」の読み方【人気簿記講師(税理士)が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって重要です。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」をわかりやすく解説します。今回は、損益計算書の数字を基に算出できる、企業の収益性の高さを示す4種類の「利益率」について解説します。

「経常利益率」と「当期純利益率」からは、会社のすべての活動で儲ける力が分かる!

経常利益率は、「売上高」に占める「経常利益」の割合です。

 

経常利益率=経常利益/売上高×100

 

経常利益は、経常的、つまり日常的に発生する利益でコンスタント利益とも呼ばれています。会社の正常な収益力であり会社の実力です。会社全体でたたき出した利益なのです。

 

経常利益は、前述したとおり、営業利益に営業外収益を足して営業外費用を差し引くことで求められます。

 

金融活動・財務活動から毎期継続的・反復的に生じる収益と費用を反映させた会社の実力・正常な収益力を表す利益です。

 

したがって、経常利益率は、毎期経常的に発生する事業活動から会社が生み出す利益の水準を表す数値になります。

 

借入金に係る支払利息は、営業外費用となり経常利益を圧迫します。

 

営業利益率に比べて、経常利益率が大きく下がっている会社は支払利息を多く計上している、つまり多額の借入金があることが推測されます。この場合、貸借対照表の負債を確認するとともに借金によって調達した資金が何に使われたのかを確認することが必要です。

 

しかし、前述したとおり、「借金=悪」ではありません。

 

調達した資金を設備投資に使っているのと、運転資金不足の穴埋めに使っているのとでは、雲泥の差があります。

 

当期純利益率は、「売上高」に占める「当期純利益」の割合です。

 

当期純利益率=当期純利益/売上高×100

 

当期純利益は、会社が1年間に生み出した最終的な利益額を意味しています。

 

経常利益に特別利益を足して特別損失を差し引き「税引前当期純利益」を求め、さらに税引前当期純利益から法人税、住民税及び事業税を差し引いて求められます。

 

したがって「当期純利益率」は、会社が生み出した最終的な儲けの水準を表す重要な数値となります。

 

しかし、当期純利益の算定にはレアケースである特別利益・特別損失が反映されます。ここに注意が必要です。

 

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決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

石川 和男

PHP研究所

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