(※写真はイメージです/PIXTA)

ブランド牛やお米、フルーツなど、わずかな自己負担で豪華な返礼品が受け取れると人気の「ふるさと納税」。メディアでも「気軽に節税できる」とさかんに報道されていますが、注意すべきポイントを押さえておかないと損してしまう可能性があると、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏はいいます。本記事で詳しくみていきましょう。

ふるさと納税後は「住民税決定通知書」を必ずチェック

――ふるさと納税がちゃんと控除されているかチェックする方法があるということなのですが、教えていただけますか。

 

黒「ふるさと納税による控除額は『住民税決定通知書』から確認することができます。正式名称を『給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)』といい、その名のとおり、住民税の金額が確認できる書類です。

 

住民税決定通知書内の「税額控除額」欄などに控除額が記載されています。所得や所得控除なども、この書類から確認できます」

 

――いつ頃もらえるんですか?

 

黒「サラリーマンの場合、5~6月頃に勤務先で配布されます。自営業の方は、6月にお住まいの自治体から郵送されます」

 

――それを見れば、前年のふるさと納税の控除がうまくいったか、自己負担がきちんと2,000円に収まったかどうかを確認することができるわけですね。

 

黒「そのとおりです。ただし、申請をワンストップ特例制度でした場合と、確定申告した場合で若干チェックするポイントが異なるため、少しだけ補足します。

 

・ワンストップ特例制度を利用した場合

ワンストップ特例制度を利用した場合には、控除額の全額が住民税から控除されます。したがって、「住民税決定通知書」だけで、控除が確実に行われたか確認できます。住民税決定通知書の「税額控除額」もしくは左下の「摘要」欄を確認してください。

 

摘要欄に記載されている「寄附金税額控除●円」が「寄附金額-2,000円」となっていることが確認できれば、控除がしっかりと行われていて、自己負担が2,000円で済んだということがわかります。

 

・確定申告をした場合

確定申告をした場合は、住民税と所得税のそれぞれから控除されます。したがって、『住民税決定通知書』と『確定申告書』、両方の確認が必要です。控除の総額は変わりません」

 

――所得税については確定申告書を見るということですが、この場合、所得税からどのくらい控除されるんでしょうか。

 

黒「所得税の控除額は、以下の式で求めることが可能です。

 

所得税からの控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率×1.021(復興特別所得税)

 

仮に所得税33%の方が15万円寄附した場合、約5万円の還付となります。「所得税からの控除額」と「住民税からの控除額」の合計が、寄附金額から2,000円を差し引いた金額と一致すれば、控除が正しく受けられていたことになります」

 

――確認した結果、控除が正しくない場合はどうすればいいですか?

 

黒「ワンストップ特例を利用しているケースだと、申請書の送付が漏れてしまっている可能性があります。この場合、修正申告を行うことで控除を受け直すことができます。寄附金控除の証明書を用意したうえで、お住まいの地域の税務署にお問い合わせください」

 

――ふるさと納税は、住民税・所得税を前払いすることで、実質2,000円の負担で魅力的な返礼品を貰えることから人気となっています。しかし、控除限度額は収入をはじめ、扶養家族の人数や、医療費控除などさまざまな要因が影響するため、できるだけシミュレーションしてから寄附することで損することを避けることができます。

 

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黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士

 

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※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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