(※写真はイメージです/PIXTA)

「老後2,000万円問題」などで、老後のお金の問題がクローズアップされています。最も避けたいのは、老後に生活していけなくなることです。特に、公的年金の受給額が少ないと、文字通り死活問題となります。実は、わが国には公的年金の受給額が少ない人のためのセーフティネットの制度が用意されています。そのなかで、比較的新しい制度である「老齢年金生活者支援給付金」について解説します。

受給金額

◆受給額の算定方法

老齢年金生活者支援給付金の受給金額は、月額5,140円を基準とし、保険料納付済期間等に応じて算出されます。

 

保険料を納付した期間に対応する分と、保険料免除を受けた期間に対応する分とに分けて、それぞれ以下の計算式を用います。

 

【老齢年金生活者支援給付金の受給金額の計算式】

・保険料を納付した期間の分=5,140円×保険料納付済期間÷480ヵ月

・保険料免除を受けていた期間の分=11,041円×保険料免除期間÷480ヵ月

 

ここで、保険料を納付した期間よりも、保険料の免除を受けていた期間の分のほうが、基準額が11,041円と2倍近くになっていることを疑問に思った人がいるかもしれません。これには理由があります。

 

保険料免除を受けた場合には前提となる基礎年金の額が低くなる分、生活の困窮の度合いが大きいからです。

 

◆補足的老齢年金生活者支援給付金の算定方法

補足的老齢年金生活者支援給付金の算定方法は以下の通りです。

 

(保険料納付期間÷480ヵ月)×{(88万1,200円-前年の年金等・所得の合計額)÷10万円)}

 

◆保険料の支払いが苦しくなったら「免除」の手続きを!

ちなみに、「保険料の免除」の手続きをせずに保険料を支払わなかった場合には、老齢年金生活者支援給付金自体を受け取ることができません。

 

また、そもそも、保険料の免除を受けてさえいれば、その期間については基礎年金を半分受け取ることができますが、不払いの場合は1円も受け取れません。

 

したがって、生活が苦しいなどの理由で保険料の支払いが困難になった場合には、速やかに、保険料の免除の手続きをとるべきだということです。

 

【図表】は、上記計算式を用いて算出した67歳以下の方の受給額の早見表です。

 

【図表】老齢年金受給(67歳以下の人の場合)

 

これを見ると、保険料の免除を受けずに支払わないことがいかに不利益か、よくわかります。

 

特に、「保険料納付期間240ヵ月・保険料免除期間240ヵ月」と「保険料納付期間360ヵ月・保険料免除期間0ヵ月」の場合を比べると、後者の方が、保険料納付額の総額が大きいにもかかわらず、トータルでの受給額が少なくなってしまいます。

受給の手続き

老齢年金生活者支援給付金の対象者かどうかは、毎年、前年度の所得に関する情報を基に判断されます。そして、対象者には9月頃に「年金生活者支援給付金請求書」が送付されます。

 

この請求書に必要事項を記入し、返送するだけで手続きは完了します。

 

その後、10月分(12月に支払い)から受給できます。

 

対象者かどうかの判定は毎年行われますが、一度受給を開始すれば、以後は、要件をみたす限り手続きなしで受給し続けることができます。

 

請求書が送付されてきたら、忘れずに手続きすることが大切です。

 

 

定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ

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和泉 昭子

KADOKAWA

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