(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●過度な不安後退で3月7日以降、ダウ平均、S&P500、ナスダックは上昇も、銀行株指数は低迷。

●情報技術、通信サービス、公益事業などは好調、市場はある程度信用条件の引き締まりを想定。

●業種別の動きは信用条件の引き締まり次第、今後も銀行に関する新たな悪材料の有無に注意。

過度な不安後退で3月7日以降、ダウ平均、S&P500、ナスダックは上昇も、銀行株指数は低迷

米シルバーゲート銀行が自主清算を発表した3月8日から、まもなく4週間が経過します。この間、米国ではシリコンバレーバンク(SVB)やシグネチャー・バンクが破綻し、スイスではクレディ・スイス・グループを巡る混乱が表面化するなど、金融不安が一気に高まりました。ただ、その後は連鎖的に銀行の問題が広がることはなく、過度な不安は幾分、後退したように見受けられます。

 

そこで、改めて米国株の動きを確認すると、米シルバーゲート銀行の自主清算発表前日の3月7日から31日までの期間、ダウ工業株30種平均は1.3%、S&P500種株価指数は3.1%、ナスダック総合株価指数は6.0%、それぞれ上昇しています。しかしながら、米国の大手行や主な地銀で構成されるKBWナスダック銀行株指数は、同期間21.7%下落しており、銀行セクターは依然、低迷が続いています。

情報技術、通信サービス、公益事業などは好調、市場はある程度信用条件の引き締まりを想定

次に、もう少し詳しく業種別の動きを検証します。同じく3月7日から31日までの騰落率をみると、「情報技術」や「通信サービス」、「公益事業」や「生活必需品」が好調で、ハイテク銘柄や景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄が選好されている様子がうかがえます(図表1)。これに対し、やはり「金融」は最も低調で、景気敏感な「資本財」や「素材」なども下落しています。

 

[図表1]S&P500種株価指数と業種別指数の動き

 

一般に、金融不安などで銀行の貸出姿勢が厳格化すると、信用条件が引き締まり、景気の下押し圧力となります。そのため、図表1の動きから、市場はこの先、ある程度の信用条件の引き締まりを前提とし、「利上げ終了」、「景気減速」、「長期金利低下」を見込んでいると推測されます。このシナリオの下では、銀行借入に頼らずとも潤沢な現金を保有し、長期金利の低下が追い風となるハイテク銘柄が、最も物色されやすいと考えられます。

業種別の動きは信用条件の引き締まり次第、今後も銀行に関する新たな悪材料の有無に注意

図表1のような傾向が続くか否かは、信用条件の引き締まりの度合いによるところが大きいと思われます。すなわち、米国で今後、信用条件が強く引き締まれば、情報技術、通信サービス、公益事業、生活必需品などのパフォーマンスが、金融、資本財、素材などのパフォーマンスを相対的に上回る可能性が高いと考えます。一方、金融不安が収束に向かい、信用条件の引き締まりが軽度となれば、これとは逆の動きも予想されます。

 

なお、米連邦準備制度理事会(FRB)は、金融機関向けに積極的に流動性を供給しており(図表2)、中小銀行の預金残高は3月22日時点で前週比59億ドル増と、3月15日時点の同1,964億ドル減から預金流出が一服しています。金融不安はまだ完全に払しょくされた訳ではありませんが、銀行に関する新たな悪材料が浮上しない限り、信用条件の引き締まりが更に加速する恐れは小さいと思われます。

 

[図表2]FRBの資産の部におけるローン残高の推移

 

(2023年4月3日)

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『アメリカの「金融不安」と「株式市場」の展望【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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