(※写真はイメージです/PIXTA)

昭和20年代後半でも、日本人男性の平均寿命は60歳前後、女性でも65歳前後ですした。54歳の磯野波平さんは立派な高齢者、「おじいちゃん」でした。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『70歳からの老けない生き方』(リベラル社)で解説します。

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昭和20年代、波平さんは普通の高齢者だった

■見た目の若さは時代によって変化

 

老化は個人差がかなり大きいと実感しています。

 

私は20年以上にわたって有料老人ホームのコンサルタントをしてきましたが、65歳でも何事にも意欲的で、運動に励み、食事でしっかり栄養を摂っている方であれば50代に見える方もいます。逆に、栄養状態がよくなくて病気がちあれば、70歳以上に見える方も珍しくありません。

 

2021年、医師の近藤誠先生と対談集の書籍を上梓したのですが、その際に近藤先生に『サザエさん』のお父さん、磯野波平の年齢は54歳、と話しました。

 

すると、少し驚いておられました。60歳は過ぎていると見ていたのです。

 

ただし、改めて考えてみると『サザエさん』が登場した昭和20年代は、波平さんのような50代半ばで“老人然”とした人はごく当たり前でした。

 

ですから、作者の長谷川町子さんは「ごく普通のおじいちゃん」として波平さんを描いたのではないでしょうか。

 

当時、定年間近の日本人男性は波平さんのような風貌でした。

 

たとえば、昭和20年代後半でも、日本人男性の平均寿命は60歳前後、女性でも65歳前後です。現在よりもかなり平均寿命が短い時代にあって、54歳の波平さんは「立派な高齢者、おじいちゃん」であったのです。

 

このように時代が変わり、栄養状態もよくなって、昭和の時代と現代では、実年齢と見た目の関係がずいぶん変わりました。元気で長寿の高齢者が増えた理由として、医療関係者の中には医療技術の進歩を挙げる人がいますが、それは大間違い。医療の進歩など、ほんのわずかなファクターに過ぎません。日本人の長寿に大きく寄与したのは間違いなく栄養と運動です。

 

若々しさや健康度は平均寿命にも表われています。2020年厚生労働省が公表した日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳。日本は、世界でもトップクラスの長寿国であり、昭和20年代後半のころと比べると、約70年間で20年も寿命が延びている計算になります。それにしても改めて考えさせられるのは「余生」の長さです。もはや「定年後=余生」ではないともいえるでしょう。定年後の生き方、時間の使い方は、ますます重要になっています。

 

■心が健康な人はいつまでも若々しい

 

年齢を重ねれば誰でも老化します。それはある意味、生物学上、避けられないことですが、心つまり、感情の老化は、個人の意識の持ち方次第でかなりコントロールでき、進行を遅らせることが可能です。

 

したがって、特に気を付けて予防していきたいのは体の老化よりも、この「感情の老化」なのです。

 

心が健康で感情が老化しない方は意欲的に活動するので、体も頭も使い続けることになります。老化予防で大事なのは頭や体を「使い続ける」ことなのです。逆に、感情が老化すると、意欲が低下し、頭や体を使うことが億劫になります。

 

そうすると、身体機能も脳機能も使わないうちにどんどん老化していくことになります。

 

感情を老化させる原因には、①脳の前頭葉の萎縮、②動脈硬化、③神経伝達物質・セロトニンの減少があります。

 

次ページ感情を老化させる3つの原因

※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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