(写真byスリランカ発ローカルメディア『EconomyNext』より)

これまで長年に渡り中国からの「再建支援」の名のもとによる多額の融資で債務返済に苦しみ、“債務のわな”に陥っているとして、インドや米国を筆頭に国際社会から懸念の声が多く上がっていたスリランカ…。現状はどうなっているのだろうか。スリランカの政治・経済・金融に関する情報を中心に取り扱う、スリランカ発ローカルメディア『EconomyNext』より翻訳・編集してお伝えする。

中国、国際通貨基金(IMF)の基準は“無視”

米国のイエレン財務長官はインドでのG20関係者との会合で、スリランカに対して具体的かつ信頼できる融資を保証するよう求めた。また「低所得国の55%が債務超過に近い状態か、債務超過に陥っている」と述べた。

 

イエレン氏は続けて「私は、中国を含むすべての公的債権者が、窮地にある発展途上国や新興国のための有意義な債務処理に参加するよう引き続き働きかける」と語った。

 

「最も緊急なのは、ザンビアに債務処理を施し、スリランカに具体的かつ信頼できる融資の保証を約束することである。

 

今週末には、ガーナを筆頭とした国々を支援するための共通枠組みプロセスについて、しっかりとした議論を行いたいと考えている。また、中所得国の債務再編に関する国際的な調整についても議論する予定である」(イエレン氏)

 

中国はスリランカに対し、独自に2年間のモラトリアム(支払猶予)を提供することを発表。国際通貨基金(IMF)の分析で設定された制限に沿って債務を再構築するという、具体的な保証は与えることなく、債務再構築の交渉に入ると明言した。

債務超過に陥っている多くの国々

貨幣政策と為替政策の対立により通貨安が進んだ悪しき中央銀行を持つ国の多くは、現在、債務超過に陥っている。

 

「IMFは低所得国の約55%が債務超過に近いか、または債務超過に陥っていると推定している」とイエレン氏は述べた。

 

「特に大不況後の高い流動性によって、上述のような悪しき中央銀行を持つ多くの国々が、商業市場でドル建ての負債を大量に借りることが容易になっている」と、アナリストは言う。古典派経済学者たちは、インフレ政策の帰結であるこの現象を「マルインベストメント」(mal-investing)と呼んでいる。

 

1970年代、FRBの悪政が石油価格を押し上げる中、米国の銀行もドル建て融資を中南米諸国に循環させた。金融不安のあった第三国に対し、債券保有者が豊富な流動性を与えたのである。

中国も助け舟を出してくれた、かと思いきや…

中国もまた、準備金の一部を米国債から政策性銀行(中国政府により設立された、国家政策に関わるプロジェクトへの貸付業務を主とする銀行の総称)へシフトし、金融不安を持つ国へ融資を行ったのである。

 

しかし、スリランカの場合、中国は石炭火力発電所に出資しており、これは1980年代の水力発電ダム以来、スリランカが着手したプロジェクトの中で“最もリターンの大きいプロジェクトだ”と言われている──。

 

この記事は、GGOが提携するスリランカのメディア『EconomyNext』が2022年2月24日に掲載した記事「Yellen calls on China for specific debt assurances for Sri Lankas
」を翻訳・編集したものです。

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