(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者であれば、いずれ考えなければならない「後継者問題」。日本では後継者不足による倒産が相次ぎ、なかには「事業承継の失敗」でトラブルになった結果、倒産にまで至ってしまった企業も少なくありません。本記事では、相続に詳しい税理士兼公認会計士の小形剛央氏が、あるリフォーム会社の事例とともに「承継準備不足」が引き起こす悲劇をみていきます。

最悪な人が、最悪な状態で会社を引き継いだ

もちろん後継者に経営の知識や経験はほとんどなく、「従業員や取引先を守る」「会社を成長させる」という経営者としての基礎的なマインドすら持ち合わせていませんでした。それどころか、「経営者になったら経費を使いたい放題だ」くらいの考えしか持っておらず、非常に危険な状態でした。

 

つまりは、経営者としての素養のない人が、経営の知識や経験もない状態で突然承継することになったわけです。誤解を恐れずにいえば、最悪な人が、最悪な状態で会社を引き継いだともいえるでしょう。

 

当然のことながら、社内であっても社外であっても、そんな経営者に付いていこうと思う人はいません。バタバタと承継したものの、その後すぐに従業員の退職が相次ぎ、取引先は離れていき……と、わずか1年足らずで廃業寸前まで追い込まれてしまったのです。

 

先代の急死というのはとても不幸なことですが、残念ながらどの企業でも起こり得ることです。実際にこれまでに私がお手伝いしたなかでも、こうしたケースは実在しますが、なかには承継後、先代以上に会社を成長させていった後継者もいます

 

急死という不幸な出来事は同じなのに、なぜ「成長する企業」と「衰退する企業」とに分かれてしまうのか。それは、前者の場合は早い段階から先代経営者と後継者が、承継の準備を進めていたことに起因します

 

高齢になるほど、突然死のリスクは高まります。急死すると同時に資金繰りがショートするという事例も、決して少なくありません。突然死でなくとも、ケガや病気で入院せざるを得なくなったり、それまでのように働けなくなったりという恐れもあります。

 

こうしたリスクを考えると、経営者は「まだ元気だから大丈夫だろう」というマインドを捨て去り、「元気だからこそ、今のうちに準備を進めよう」という意識に切り替えることが重要です。

 

 

小形 剛央

税理士法人小形会計事務所 所長

株式会社サウンドパートナーズ 代表

税理士・公認会計士

 

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※本連載は、小形剛央氏の著書『いきなり事業承継成功読本』(日刊現代、講談社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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