(※写真はイメージです/PIXTA)

心理的安全性」とは、もともと心理学用語で「組織のなかで自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる状態」のことです。なぜ重要なのでしょうか。経営者たちが抱える「組織変革」の悩みを組織改革コンサルタントの森田満昭氏が解説します。

働く人に選ばれない会社は衰退する

■心理的安全性が欠けたままだと組織はどうなるか

 

心理的安全性が欠けた組織では社員は目と口を閉ざし頭を使うのを止め、手と足を動かさなくなり、最後には心を閉ざすか退職していきます。働く人に選ばれなくなった会社は、まちがいなく衰退します。

 

1908年、ヘンリー・フォードはT型フォードを世に出して以来、約20年間で1500万台以上を生産しました。特筆すべきは世界初の量産方式を採用したことです。フォードシステムと呼ばれるベルトコンベアーの流れ作業方式を生み出し、拡大再生産を続けたのです。

 

このとき従業員に支払われる給与は平均的な賃金の2倍以上でしたが、フォード社は常に人材不足に困っていました。なぜなら従業員は細かく分業された生産ラインの流れに支配され、単調でミスの許されない労働環境に耐えられなくなるからです。著しい精神的負担を感じ、高給であっても退職者があとを絶ちません。

 

それでもヘンリー・フォードは「私が雇いたいのは、丈夫で、言われたことを正確にやり続ける手と足だ。だが人間を雇うと、不要な心と頭が付いてくる」と言ったとされています。

 

経営者のなかには厳しい自己評価を下し、社員にも同じように接する人は少なくありません。問題が起こるとすぐ大きい声で社員を叱りますが、怒ることで社員の仕事の質が上がるのかとあらためて考える必要があります。

 

社長が営業会議で1時間怒鳴り散らすことで来月の売上が倍になるならいいのですが、実際はそうなっていないはずです。社長の演説を1時間、とにかく心を閉ざして聴いておけば営業会議から解放されると思っている社員を育てているのですから当然です。

 

社長の仕事とは社員を成長させて顧客に喜んでもらい結果として売上を上げること、怒ったところで社員も企業も成長しないことを、まず理解する必要があるのです。

 

森田 満昭

株式会社ミライズ創研 代表取締役

 

 

※本連載は、森田満昭氏の著書『社員が自ら考え、動く自走型組織の作り方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

社員が自ら考え、動く自走型組織の作り方

社員が自ら考え、動く自走型組織の作り方

森田 満昭

幻冬舎メディアコンサルティング

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