(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数21,283.52 pt (▲0.07%)
中国本土株指数7,189.29 pt (▲0.59%)
レッドチップ指数  3,947.90 pt (+1.07%)
売買代金1,156億0百万HK$(前日1,037億8百万HK$)

米FRBは引き続きインフレ抑制優先の姿勢

7日、パウエルFRB議長は、経済団体のイベントで米雇用統計(1月)について、想定より力強かったと語り、インフレ加速を示す経済指標がつづいた場合は、金融市場が想定する以上の利上げを実施する用意があることを言及した。

 

政策金利が、12月FOMCのドットチャートで示されたターミナルレート5.125%を、上回る可能性についても言及した。

 

一連の発言は、先週のFOMC後の記者会見やその後の議会証言でも、一貫している。FRBはインフレ高進に歯止めをかけることを最優先に考えているが、マーケットは、懐疑的な見方を維持している。

 

ディスインフレが始まったとのパウエル議長の言及に飛びつき、金利が上昇するとのシナリオよりも、上昇には限りがあるとのシナリオに乗っかったままである。

 

金利見通しが楽観的に傾き、米ドル債券利回りの低下から、今年に入り1ヵ月ほどの間、米国株式市場はリスクオンのムードがつづき、米国を代表するS&P500は7日の終値時点で年初来8.5%上昇、約半年ぶりの高値にある。

 

景気敏感株で構成されるナスダック100は年初来16%強上昇し、1月単月では過去20年で最高のパフォーマンスを記録した。

 

しかし、米国10年債利回りはこの3営業日は上昇しており、FRBの年内の利下げの可能性は大きく後退している。2月に入ってからは、株高と金利高が同時に起こっており、市場のシナリオにはやや矛盾も生じている。

香港ハンセン指数は反落

8日の香港市場は方向感の欠く展開がつづいた。ハンセン指数は終日、前日終値で一進一退の動きとなり、前日比0.07%安となった。中国の経済回復に対する期待は根強いものの、昨年から株価を押し上げてきた材料の出尽くし感も否めない。

 

中国の気球墜落を巡り、米中対立の懸念材料として浮上したことも引きつづき、上値を抑える展開に影響した。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比1.88%安と市場を大きくアンダーパフォーム。

 

人工知能開発のセンスタイム(0020)は6.6%安、フードデリバリーの美団(3690)は6.5%安、オンライン医療サービスの阿里健康(0241)は3.6%安、インターネット検索の百度(9888)は3.1%安、スマートフォンの小米集団(1810)は3.0%安だった。

 

一方、金融関連株が堅調となり中国中信(0267)は2.3%高、HSBC(0005)は2.1%高、商業銀行の招商銀行(3968)は1.4%高、保険大手の中国平安保険(2318)は1.0%高だった。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.49%安の3,232.11、CSI300は0.44%安の4,076.14だった。

 

8日、中国人民銀行は公開市場操作で1日の供給額としては過去3年間で最大の4,860億人民元を市中供給した。同銀は春節の連休前にリバースレポを通じて大規模な資金供給を実施した後、巨額な資金を市中から連日で引き揚げていたことも背景にあったものと考えられるが、反応は限定的となった。香港市場同様に新たな材料待ち感が強い。
 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

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