(※写真はイメージです/PIXTA)

離婚時の財産分与では、夫婦「2分の1ずつ」が基本です。一方が専業主婦(主夫)でも関係ありません。では、夫婦が個別に稼いだお金もそこに含まれるのでしょうか。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、離婚時の財産分与のポイントについて佐伯圭佑弁護士に解説していただきました。

離婚時の財産分与ではそれぞれの「個人的収入」も折半?

相談者のKさん(男性・仮名)は、結婚20年目で、離婚を考えています。

 

家族はKさんが50歳、奥様が49歳(専業主婦)、長女21歳(社会人)、長男17歳、次女15歳です。

 

結婚後のお金の管理は、独身時代から使用しているKさんの通帳でKさんがしています。独身時から通帳に幾ら貯まっていたかは不明です。

 

奥様はパートや近くの畑の手伝い等の臨時収入があり、それらは奥様の通帳に入れています。Kさんはその貯蓄額は把握していないそうです。

 

また、昨年Kさんの父が他界し、母親から少しだけ相続分のお金を貰いました。金額は、贈与税が掛からない程度だそうです。

 

以上の内容を踏まえ、Kさんは離婚時の財産分与がどうなるのか気になり、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

1.Kさんが独身時代に貯めていた金額は不明だが、その金額も含めて折半できるのか。また、妻の預金も同様に折半になるのか。

 

2.親からの相続分も、半分ずつに分けなければいけないのか。

独身時代の預貯金は「原則」財産分与の対象ではない

財産分与は、夫婦が協力して形成した財産を離婚時に公平に分ける制度です。夫婦が協力して形成した財産を共有財産といい、夫婦の協力ではなく形成した財産を特有財産といいます。

 

独身時代の預貯金は、夫婦が協力して蓄えたものではありませんので、特有財産です。原則として財産分与の対象とはなりません。

 

同様に、相続した金員も夫婦が協力して蓄えたものではありませんので、特有財産です。原則として財産分与の対象となりません。

 

他方で、Kさんが婚姻期間中の給与収入から蓄えた預貯金は、奥様が家事育児を担っていたからこそ働くことができたという財産になりますので財産分与の対象となります。そのため、財産分与の対象となる預貯金は、独身時代の預貯金と相続した金員を除いたものとなります。

 

奥様の預貯金も同様に、パート等の収入は、Kさんの協力の下で得ることができたと言えるものですから(特有財産がなければ)、財産分与の対象となります。

 

Kさんの財産額が多い場合、財産分与の金額を計算するには、(Kさんの財産(独身時代の預貯金と相続分を控除したもの)+奥様の財産)/2-奥様の財産で計算することになります。

 

しかし、「原則」とあるようにいくつか例外的な取り扱いがあります。

次ページ「例外」で父の遺産は折半となってしまうのか?

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