(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年度「税制改正大綱」が発表されました。特に、資産家にとって、財産を次世代に移転する相続対策の王道であった生前贈与について、来年以降どうなるのか、気にされていた方も多いと思います。

「3年持ち戻しが7年に延長」…税制改正大綱が発表

“年間110万円までの生前贈与は非課税”という暦年贈与制度ですが、そもそもなぜ、このように制度の存続が危ぶまれるような事態になったのでしょうか。

 

遡ること2年前の2020年の税制調査会にて「格差の固定化を防止しつつ資産移転の時期の選択に中立的な税制を構築する方向で検討を進める」と打ち出され、さらに2021年にはそのトーンが一段と上がりました。

 

税制改正大綱が発表されるまで、各メディアにて“生前贈与(110万円の非課税枠)が無くなるかも?”といった記事を見聞きした方も多いと思います。税制改正大綱が発表される直前にも「3年持ち戻しが7年に延長」という報道が流れていました。

 

蓋を開けてみるとそのとおりに「3年持ち戻し」が7年に延長されることになりました。令和6年(2024年)1月1日からになります。

 

この「3年持ち戻し」とはいったい何でしょうか。これは、例えば親が子どもに生前贈与しても、その3年以内に贈与した親が亡くなってしまったら、その贈与した財産は亡くなった親の相続財産として持ち戻されて相続税が計算される、というものです。

 

“3年内贈与加算”とか“3年縛り”と呼ばれたりもします。110万円の非課税枠以内の贈与でも持ち戻しの対象です。

 

子どもに贈与したはずなのに、親の財産に持ち戻して相続税が課税されてしまう期間が3年から7年に延長されるということです。よって、今回の改正における結論としては「とにかく早めに贈与をして、長生きすること」これに尽きます。

 

ちなみに海外ではイギリス7年、お隣韓国やドイツは10年、フランス15年、アメリカは一生涯、持ち戻しの対象です。

「生前贈与は孫が効果的」なワケ

さて、生前贈与は誰に対しておこなっても構いません。配偶者、子ども、孫はもちろん、兄弟姉妹、甥姪、息子の嫁、娘の婿、さらにはお世話になった人といった第三者にも贈与することは可能です。

 

では、この3年持ち戻しですが、誰に対しても適用されるかというとそうではありません。このルールの適用を受けるのは、「相続や遺贈(=遺言によって財産を渡すこと)によって財産を取得した人」です。つまり、「相続する権利がある人」ということになります。

 

遺言がない場合は、法定相続人です。よって、基本的には配偶者、子ども、親、兄弟姉妹が対象ということになり、代襲相続がある場合は孫や甥姪も対象となり、養子縁組している場合は養子も対象になります。

 

一方、遺言がある場合は、その遺言によって財産を引き継いだ方が対象になります。よって、法定相続人だけに限りません。

 

何が申し上げたいかというと、①遺言によって孫に財産を渡す(=遺贈)、②代襲相続で孫が法定相続人になる、③孫を養子にしている、という場合を除き、孫は基本的には法定相続人にはなりませんので、この3年持ち戻しの対象外になるということです。7年に延長されても同様です。

 

「生前贈与は孫が効果的」と見聞きしたことがある方もいらっしゃると思いますが、その理由がまさにこれです。

 

遺言で孫に財産を渡したりしない、孫が法定相続人にならないのであれば、孫に生前贈与しておけば、3年(7年)の持ち戻しをする必要がないためメリットが大きいと言えます。

 

(細かい話ですが、生命保険の死亡保険金受取人を孫が受け取った場合は、3年〔7年〕の持ち戻しの対象となりますので、特段の理由なく孫を死亡保険金受取人にすること〔←たまにいらっしゃいます〕はオススメしません。)

 

よって、孫への贈与がまだの方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

次ページ20%以下の税金(税率)は軽い?「生前贈与あるある」

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録