(写真はイメージです/PIXTA)

近年、ハラスメントの法的整備が進むなか、パワハラに関する裁判事案が増えています。パワハラに関する裁判では、直接の加害者のみならず、会社が責任を問われる事例も少なくありません。そこで、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が4つの具体的な裁判事例とともに、パワハラの定義と社内で発生した際の対処法を解説します。

身体的攻撃、過大な要求…パワハラ「代表的類型」6つ

厚生労働省によれば、パワハラには次の6類型が存在するとされています
※ 厚生労働省:パワハラを放置しない

 

それぞれの類型と具体例は、次のとおりです。

 

1.身体的な攻撃型:叩く、殴る、蹴るなどの暴行や丸めたポスターで頭を叩くなどの行為

 

2.精神的な攻撃型:同僚の目の前での叱責や他の職員も宛先に含めたメールでの罵倒、必要以上に長時間にわたる叱責や執拗に繰り返す叱責などの行為

 

3.過大な要求型:新人で仕事のやり方も分からないにもかかわらず他人の仕事まで押し付けられたうえ、同僚などは皆先に帰宅するなどの行為

 

4.過少な要求型:運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられたり、特定の社員だけ会社のプロジェクトに参加させず、簡単な業務だけを行わせたりする行為

 

5.人間関係からの切り離し型:1人だけ別室に席を移す、集団で無視してコミュニケーションをとらない、送別会に出席させないなどの行為

 

6.個の侵害型:交際相手について執拗に問う行為や、家族などに対する悪口を言うなどの行為

 

なお、実際にはこれらの類型のどれに該当するのか明確に分類できるものばかりではなく、複数の類型に該当するパワハラなども多数存在します。

パワハラが起きた社内に起こる「負の連鎖」

社内でパワハラが起きてしまった場合、会社にとって生じる可能性があるリスクは次のとおりです。

 

社内のモチベーションが低下する

社内でパワハラが横行していると、直接のパワハラ被害者のみならず、社内や部署全体の雰囲気が悪くなってしまいがちです。そのため、社内でパワハラが起きてしまうと、社内全体のモチベーションが低下するおそれがあります。

 

退職者が増加する

会社がパワハラに対して早期に対応せず社内のモチベーションが低下した状態が継続すると、会社に見切りをつける人が生じる可能性があります。そのため、退職者が増加するおそれがあるでしょう。

 

会社の評判が低下する

社内でパワハラが起きたことがニュースなどになれば、広く世間に知られることとなります。また、ひどいパワハラの状況がSNSなどに投稿され、広く拡散してしまう可能性もあるでしょう。

 

このような事態となれば、会社の評判が低下し売上が低下するおそれがある他、今後の人材採用などへも影響してしまいかねません。

 

会社が裁判で法的責任を問われる可能性がある

社内でパワハラが起きると、会社が裁判において法的責任を問われる可能性があります。会社が問われる可能性のある法的責任は、次で詳しく解説します。

 

次ページ会社が問われる主な「法的責任」

本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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