税金 節税
連載元・国税調査官が語る「究極の節税」【第1回】

会社経営を苦しい状況に追い込む「支出を伴う節税」

新連載決算減価償却

会社経営を苦しい状況に追い込む「支出を伴う節税」

「せっかく稼いだお金を税金に持っていかれてたまるか!」そんな思いから多くの経営者が節税に励んでいます。しかし、ひとたび節税の方法を間違えると税務署から捜査の手が入り、経営が楽になるどころか危機的な状況に陥ってしまうこともあるのです。本連載では、元・国税調査官だからこそわかる「究極の節税」を紹介します。

目先の税金を減らすための支出は、節税とは言えない

節税は本来、自社の業績や経営戦略などを踏まえて計画的に進めていくべきものです。節税する目的を正しく理解せず部分的に取り入れるだけでは、かえって逆効果になりかねません。

 

たとえば、決算間近になって予想以上に利益が出ていることがわかると、にわかに交際費をたくさん使ったり、不要不急の備品を買い込んだりして利益を圧縮し、目先の税金を減らそうとします。

 

しかしこれは、明らかに間違った節税のやり方です。本来の節税とは、闇雲に経費をかけて税金を少なくするものではないからです。

税金対策によって会社の預金が減ってしまった結果…

節税には、「支出を伴う節税」と「支出を伴わない節税」の2つがあります。「支出を伴う節税」とは経費を支出したり、備品の購入、減価償却資産の取得などで利益を減らす方法です。一方の「支出を伴わない節税」とは、後ほど紹介する財務リストラなどのように、キャッシュを使わずに利益を圧縮する方法です。

 

この2つのうち、一般には支出を伴う節税が広く実践されています。前述したとおり「目先の税金を減らすこと」で節税効果が実感しやすいためです。

 

たとえば「100」のキャッシュを使って税金対策をしたとします。法人税等の実効税率を34%とすると、税金は「34」減ることにはなります。しかし同時に「100」のキャッシュが出ていっている点に着目してください。100-34で結局、会社の現預金は「66」余分に減ってしまうことになります。

 

たしかに、使用頻度の少ない備品でも、まとめて購入し経費として計上すれば課税所得を減らすことは可能ですし、いずれ必要となる場合もあるでしょう。しかし、〝いま〞節税のために本当にキャッシュを使う必要があるのか、よく考えなければなりません。

 

貴重な現預金を犠牲にしてまで節税をすべきなのか、そのキャッシュを使うべき投資は他にないのか――。中小経営者は、常にこの判断が求められているのです。

 

この経営判断を慎重に行うことなく、決算時期に焦って支出を伴う対策をしているようでは効果的な節税はできません。まして、税金を減らすという目的を追求しすぎるあまり、合法的なラインを踏み越えてしまう脱税に至っては本末転倒です。

 

節税本来の目的に立ち返り、会社を良い方向に引っ張るための「経営戦略」として税金対策を位置づける必要があります。

本連載は、2016年8月2日刊行の書籍『税務署が咎めない「究極の節税」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

辻 正夫

みのり税理士法人 所長税理士

昭和24年生まれ。大阪国税局管内主要税務署で32年間勤務し、中小企業約800社の法人税の調査に従事。平成12年に税理士登録。平成14年、高知工科大学大学院起業家コース修士課程修了。平成15年、協同組合トータル・サポート・ブレインズ大阪を設立、代表理事就任。平成18年、みのり税理士法人を設立、代表社員・所長就任。平成19年、高知工科大学大学院起業家コース客員教授就任。ACミラン所属・サッカー日本代表本田圭佑選手のプロモーション会社の税務顧問や税理士法人以外に5企業の代表取締役も務める。
平成23年、一般社団法人全国環境対策機構(JEO)を設立し、理事長就任。児童養護施設にソーラーパネルやLEDを寄贈している。

著者紹介

連載元・国税調査官が語る「究極の節税」

税務署が咎めない「究極の節税」

税務署が咎めない「究極の節税」

辻 正夫

幻冬舎メディアコンサルティング

「せっかく稼いだお金を税金に持っていかれてたまるか!」そんな思いから多くの経営者が節税に励んでいます。しかし、ひとたび節税の方法を間違えると税務署から捜査の手が入り、経営が楽になるどころか危機的な状況に陥り、最…

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