(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年も残すところ2ヵ月を切り、所得税・住民税の年末調整あるいは確定申告が気になる時期になりました。個人にとって「節税」の方法は限られていますが、特に重要なのが一定の支出について所得金額から差し引ける「所得控除」です。そこで、本記事では、知っておくと特に役立つ10類型の所得控除を選び、簡単に紹介します。

8. ひとり親控除・寡婦控除

◆8.1. ひとり親控除

ひとり親控除は、婚姻歴の有無とは無関係に、「ひとり親」であれば35万円の所得控除を受けられる制度です。

 

以前は「寡婦控除」「寡夫控除」がありましたが、2020年から性別を問わないひとり親のための制度として新設され、「寡夫控除」は「ひとり親控除」に吸収されました。「寡婦控除」の制度は残りましたが、後述するように、適用対象が限られています。

 

ひとり親控除の適用要件は以下の通りです。

 

・その年の12月31日の時点で現に婚姻をしていない、あるいは配偶者の生死が不明

・生計を一(いつ)にする子がいる

・子の所得の合計額が48万円以下

・合計所得金額が500万円以下

・事実婚の関係にない

 

◆8.2. 寡婦控除

寡婦控除は、2020年の「ひとり親控除」創設以前は、シングルマザーのための控除の制度として機能していたものです。

 

現在は、事実上、婚姻歴がある女性が子以外の親族を扶養しているケースに限って機能することになりました。要件は以下のいずれかを満たすことです。

 

・夫と離婚し、扶養親族がおり、合計所得金額が500万円以下

・夫と死別し、合計所得金額が500万円以下

 

9. 配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者控除・配偶者特別控除は、「103万円の壁」「150万円の壁」「201万6,000円の壁」等の言葉のほうがピンとくるかもしれません。

 

配偶者控除とは、配偶者の給与収入が「103万円の壁」を超えた場合に、38万円の所得控除が認められる制度です。

 

これに対し、配偶者特別控除とは、年収1,000万円以下の人の配偶者がパート・アルバイトとして働いている場合、その配偶者の給与収入が「配偶者控除」の対象となる「103万円の壁」を超えても、一定の金額の所得控除が認められる制度です。控除を受けられる金額は、納税者本人の合計所得金額と、配偶者の合計所得金額の関係により、細かく定められています(【図表2】)。

国税庁HP「タックスアンサーNo.1195 配偶者特別控除」をもとに作成
【図表2】配偶者特別控除の額の早見表 国税庁HP「タックスアンサーNo.1195 配偶者特別控除」をもとに作成

 

10. 扶養控除

扶養控除は、配偶者以外で生計を一にする16歳以上・合計所得金額48万円以下の扶養親族がいる場合に、一定額の所得控除を受けられる制度です。

 

控除を受けられる額は以下の通りです。

 

・16歳~18歳の扶養親族:38万円

・19歳以上の扶養親族(特定扶養親族):63万円

・同居老親等の扶養親族:58万円

・同居老親等以外の老人扶養親族:48万円

 

まとめ

年末調整・確定申告の際に知っておくと特に役立つ10類型の所得控除を紹介しました。控除の制度は税務署等が積極的に教えてくれるものではないので、知っているのと知らないのとでは大きな差になります。

 

また、過去の分についても5年前までさかのぼって「還付申告」ができますので、思い当たる方は、ぜひ参考にして活用することをおすすめします。

 

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