(※写真はイメージです/PIXTA)

世界地図をのぞくと日本はロシア・中国・北朝鮮に囲まれており、現在の世界情勢を照らし合わせると、地政学上大きく危険をはらんでいる国の一つといえます。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻による戦場の痛ましい現状の報道を目にして、罪のない人々が苦しむ姿に心痛めるとともに、自国の安全への不安を募らせれている人も多いのではないでしょうか。本連載では「2027年、日本がウクライナになる(他国に侵攻される)」と予測する、元自衛官で「戦場を知る政治家」である佐藤まさひさ氏の著書から一部一抜粋して、日本防衛の落とし穴についての知識を分かりやすく解説します。

ウクライナ危機でNATO加盟国の足並みがそろうも…

国際関係は一筋縄ではいきません。それぞれの国がさまざまな国と、経EU済支援、技術協力、歴史などで連携しているからです。各国には事情があり、思惑もあります。EUもNATOも一枚岩とは言えませんでした。トランプ前大統領は、NATOの防衛費をGDPの2%に引き上げよと要求していました。

 

「なんでヨーロッパとの貿易赤字が7兆円以上あるのに、NATOの国防費の8割をアメリカの血税で負担しなければならないのだ。おかしいだろう。自分のことは自分でやれ」

 

と。そんな風潮の中、今回のウクライナ危機があり、潮目は一気に変わりました。おそらくこれは、プーチン大統領も計算外だったでしょう。ヨーロッパがこれほど急にまとまるとは思わなかったはずです。

 

経済重視のドイツでさえ「国防費をGDP比2%超」に増額して予算を組み、フィンランドやスウェーデンはNATO加盟を正式に申請しました。2022年3月24日にG7(先進7ヵ国)首脳会合がベルギーで開催されました。G7はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、日本、カナダ、イタリア。日本からは岸田首相が参加しました。

 

会議では「中国がロシア制裁の抜け穴になってはいけない」と話し合ったのに、結局、共同声明には、それが抜けていました。ドイツの反対があったからです。ドイツと中国は経済的な関係が深く、例えば中国の公用車にはドイツ車が並んでいたりします。ヨーロッパは一気にまとまったように見えますが、やはり国ごとに利害関係があり、何が作用して、どんなことが起こるかはわからないのです。

 

台湾問題などの“有事”を想定するなら、日本が今しなければならないのは、ヨーロッパに“本気”で連帯を示すことでしょう。そうしなければ、本当の意味の「日・米・欧」というつながりが、台湾有事においては機能しません。日本有事でも同じことです。

 

おそらく台湾有事にはNATOは条約上も地理的関係からも、まとまって動くことはできません。国連も期待できません。ASEANはどうか? 中立の立場を取るでしょう。中国との関係がありますから、あからさまに台湾や日本に味方をすることはできません。

 

それでは、お隣の韓国はどうでしょうか? 動いてくれるはずがありません。中国とのビジネス関係が非常に深いのですから。ただ台湾海峡が不安定になれば、韓国に中東の石油が入ってこなくなるリスクはあります。ゆえに韓国の新政権は台湾海峡の安定に汗をかくべきです。

 

そう考えると、現段階では、助けてくれる国はアメリカとオーストラリア、そしてNATO諸国の英仏ぐらいしかありません。とはいえ、オーストラリアは強力な友好国ですが同盟国ではないので、アメリカと比べるとやや弱くなります。

 

英仏は近年、インド太平洋地域に関心を強めていますので、その関係を強化するチャンスです。アメリカは同盟国ですが、どんどん内向きになっているし、自分が汗をかかないと助けてくれないということは、この本で再三述べてきたとおりです。

 

中国の暴走を抑えるためには、インドは絶対に必要な存在です。QUADが本格的に動き出したことは、第四章でもお伝えした通りです。しかしインドは歴史的にもロシアとのつながりが深く、長年、軍事を含めた技術的な恩恵を受けてきました。いきなり離れる訳にはいかないでしょう。

 

サイバーやレーザー技術等、技術分野でのイスラエルとの連携も重要な視点です。そうしたことも含めて、新しい連携を模索し続けなければならないのです。

次ページ日本が誇る「技術力」で各国の必要不可欠な存在に?

※本連載は、佐藤まさひさ氏の著書『知らないと後悔する 日本が侵攻される日』(幻冬舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。

知らないと後悔する 日本が侵攻される日

知らないと後悔する 日本が侵攻される日

佐藤正久(現・佐藤まさひさ)

幻冬舎

2027年、日本がウクライナになる――。決して脅しではない。習近平国家主席が4期目を決めるこの年に、世界は大きく動くことになるだろう。ロシア、中国、北朝鮮に囲まれた我が国の危険性は、日増しに高まるばかりである。ロシ…

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