妻に先立たれた資産家男性、長男夫婦まで亡くなり…
太一さんは、貸しマンション一棟や自宅、預貯金や株式など金融資産を持っている資産家です。
妻の陽子さんは病気のため先に亡くなってしまいましたが、太一さんには、長男の太郎さんと長女の花子さんの2人の子どもがいます。
太郎さんには、妻の月子さん、子どもの星子ちゃんがいます。そして花子さんには、夫の実さん、子どもの蓮君がいます。
しかし、太一さん一家に不幸が襲います。長男の太郎さんとその妻の月子さんが、交通事故で亡くなってしまったのです。
太一さんは、ひとり残された不憫な孫の星子ちゃんに「これからは自分が親代わりとなる」といって、星子ちゃんと養子縁組をしました。
星子ちゃんは、太一さんの愛情を受けて無事成人し、その後、光さんと結婚し、子どもの光太ちゃんも生まれました。
太一さんは、星子ちゃんの結婚と子どもの誕生に安心したのか、程なく、老衰で亡くなりました。
「おじいちゃんの財産は、私が2/3相続できる!」
太一さんが亡くなった時点の遺産は、貸しマンション一棟(1億円相当)、自宅(1億円相当)、預貯金や株式など金融資産(1億円相当)の合計3億円でした。
花子さんは、相続人は、星子ちゃんと花子さんの2人なので、太一さんの遺産を2分の1ずつ分けると思っていました。
ところが、星子ちゃんは、このように主張しました。
「私は、太一おじいちゃんと養子縁組をしているので、おじいちゃんの子どもとしても相続人になるし、おじいちゃんの子どもであるお父さん(太郎さん)がすでに亡くなっているから、その代襲相続人としても相続人になるの」
つまり、星子ちゃんは、相続人は3人と考えて、そのうち2人の相続人を兼ねているので、相続分は3分の2となるというのです。
花子さんは納得できず、2人の間ですさまじいバトルが勃発しました。
花子さんと星子ちゃんの言い分はどちらが正しいでしょうか。
①相続人は、花子さんと星子ちゃんの2人だから相続分は、花子さんも星子ちゃんも、2分の1ずつとなる。
②星子ちゃんは、太郎さんの代襲相続人の地位と、養子として相続人の地位と両方持つこととなることから、星子ちゃんの相続分は3分の2となる。
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