(画像はイメージです/PIXTA)

資産家の母を持つ兄と妹。母は孫である兄の子どもたちを溺愛し、湯水のようにお金を使いますが、子をもたない妹はそんな母の対応に不公平感を募らせます。母亡きあとに妹は「母が兄の子どもたちにかけてきたお金を、兄の相続分から引くべき」と主張しますが…。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が解説します。

長男の子を溺愛する高齢母、イライラをつのらせる長女

陽子さんは、夫太一さんから相続した世田谷の自宅(1億5,000万円相当)に住んでおり、賃貸マンション(7,000万円相当)の賃料収入と年金で暮らしています。預貯金等の金融資産は3,000万円くらいあります。陽子さんには長男の太郎さん、長女の花子さんの2人の子どもがいます。

 

長男の太郎さんは結婚しており、奥さんの月子さん、子どもの元気くんと星子ちゃんと一緒に陽子さんと同居しています。

 

花子さんも結婚し、夫の実さんと暮らしていますが、子どもはいません。

 

陽子さんは、元気くんと星子ちゃん2人の私立中学・私立高校・私立大学の学費や塾の代金、修学旅行代などで、合計5,000万円を出していました。そのほかにも、なにかといってはお小遣いをあげていました。

 

子どもがいない花子さんは、「お母さん(陽子さん)は、孫には甘いんだから」と不満に思っていました。

 

そんなある日、陽子さんは、高齢のため心不全で亡くなりました。陽子さんは遺言を書いていませんでした。

 

四十九日も過ぎ、太郎さんと花子さんは遺産分割について話し合いをすることとしました。

 

花子さんはその席で、

 

「お母さんの通帳を見たら、元気くんと星子ちゃんの学費や塾の代金の振り込みがあって、合計したら5,000万円もあったわよ。これはお兄さん(太郎さん)への特別受益だから、その分お兄さんの相続分から引いてもらうからね」

 

といいました。

 

太郎さんは、どうしたらよいでしょうか。

 

①元気くんと星子ちゃんの学費や塾代は、孫への贈与であり特別受益とならない。

 

②元気くんと星子ちゃんの学費や塾代は、本来親である太郎さんが負担すべきお金なので、太郎さんの特別受益となる。

 

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