前回は、相続物件を法人化することで得られるメリットを紹介しました。今回は、相続前に「一族全員で話し合い」をするメリットなどを見ていきます。

お互いに「今後のビジョン」を含めて語り合えば・・・

相続前にしておきたいこと、あるいはできることは、実は数多くあります。いくつかポイントを絞って紹介しましょう。

 

まず重要なことは、相続税対策のために何かをするにしても、まずは一族全員がそろっているところで相続の話し合いをすることです。法人を作って不動産ビジネスを展開したい、そうすれば「相続の問題も消える」といった形で、あくまでも不動産ビジネスをメインに話を進めてみるのもひとつの方法かもしれません。

 

このときに重要なことは、お互いに今後のビジョンも含めて語り合うことです。老後を迎えている親であれば、将来的には介護付有料老人ホームに入りたいとか、長男夫婦と一緒に住みたいといった希望も話すことで、お互いのライフスタイルを理解することができ、相続税対策などのプランニングもやりやすくなります。

「プラスの資産」「マイナスの資産」は必ずチェックを

相続税の申告では、相続開始後3カ月以内に相続するのか、相続放棄をするのかを決めなければなりません。そして、亡くなった人の所得税の「準確定申告」を4カ月以内、相続税の申告を10カ月以内にしなければなりません。そこで、重要なポイントは次の2つです。

 

ひとつは、プラスの資産だけではなく、マイナスの資産もあるかどうかを厳しくチェックする必要があることです。

 

マイナスの借金のほうが多い場合は、相続した段階で相続人は借金を背負うことになります。特に注意したいのは「連帯保証人になっていないか」です。連帯保証人も、マイナスの財産として相続されてしまいます。

 

次に、相続人の数の確認も大切です。とりわけ、注意したいのが相続人が認識している親族以外の親族がいた場合です。親が離婚していたり、養子がいる場合、そして認知している子がいないかどうか。戸籍謄本を取り寄せてみればわかることですが、やはりこれも相続が始まる前に確認しておきたいことです。

本連載は、2013年8月2日刊行の書籍『相続税は不動産投資と法人化で減らす』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続税は不動産投資と法人化で減らす

相続税は不動産投資と法人化で減らす

成田 仁,富田 隆史

幻冬舎メディアコンサルティング

従来より相続税対策として考えられてきた、アパートや小規模ビルなどの建設。しかし、それこそがリスクをもたらしているかもしれないとした…。 本書は、持て余している土地を収益性の良い賃貸物件に買い替える不動産投資の最…

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