(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、武者リサーチが2022年7月14日に公開したレポートを転載したものです。

世界の株式相場…いまが「絶好の投資場面」か

大波乱の2022年前半を終えた。前半のパフォーマンスは、TOPIXは▲5%とS&P500▲20%に比し堅調だったが、ドルベースでみると▲20%と米国並みの下落であった。

 

ほぼ世界株価は今年前半で底打ちしたのではないか。後半から2023年にかけて波乱は残りながらも、徐々に堅調になっていく公算が大きい。米国株は年間では▲10~0%とマイルドな落ち込みになっていくものと思われる。いまは絶好の投資場面かもしれない。

 

[図表1]世界の主要株価指数推移
[図表1]世界の主要株価指数推移

 

なぜ希望が持てるのか。今後3つの好材料が期待できる。

 

①インフレピークアウト

②利上げ一巡感の醸成

③FRBはよいインフレを殺さない

 

である。

インフレは確実にピークアウトする

複雑骨折のインフレ、前例は当てはまらない

第一にインフレ鎮静化が見込まれる。いまのインフレは極めて特殊、異なるいくつかの要因が重層的に高インフレをもたらした。それが一度に積み重なった複雑骨折型のインフレだ。

 

かつてのインフレ論を一般的に当てはめるのは間違いで、1970~80年代のスタグフレーションが再燃する可能性はほとんどない。また「景気過熱による賃金上昇がインフレの原因、景気を冷やすことが必要だ」という一般論を当てはめることは危険だ。

サプライチェーンの混乱も、今後は落ち着いていく

インフレの第一の原因は、サプライチェーンの混乱である。CPI耐久財指数が前年比17%も上昇したことはかつてなかった。そもそも耐久財は米国でも日本同様長期的に下落することが常態、それが急上昇した。

 

典型が半導体不足による自動車の大幅な減産である。供給難から新車・中古車価格が急騰した。またコロナ禍の下での巣ごもり需要でPC・スマホなどハイテク機器需要が急増し価格上昇に拍車をかけた。

 

しかしサプライチェーンの制約は今後緩和していく。港湾での船舶渋滞は急速に改善し、運賃が値下がりしている。また巣ごもり需要の一巡でPC・スマホが生産調整に入り、メモリなど半導体価格が下落し始めている。またドル高によるCPI下落圧力が見込まれる。

 

コアコモディティ(食料エネルギーを除く財)はCPIの21%ウェイトを持っており、その8割は輸入品である。年間約3兆ドルの輸入があるが、ドルは既に前年比10%ドル高になっており、それのCPIへの寄与は3,000億ドルの価格下落、CPI全体を約1.5%引き下げる。

 

[図表2]米国物価上昇率(CPI)品目別推移
[図表2]米国物価上昇率(CPI)品目別推移

 

次ページ「ロシア・ウクライナ戦争」の影響はピークアウトか

本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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