前回は、相続税対策で購入した賃貸不動産を「法人」で所有するリスクについて説明しました。今回は、二次相続まで見据えた相続税対策のシミュレーション例を見ていきましょう。

先の先までを見据えれば、最適な相続税対策がわかる

筆者が賃貸不動産の売却までを考えるのは、相続税対策の「先」を見据えているからです。もちろん、相続税対策は一度にいくつもできません。そのため、まずは目の前に迫る相続への対策を考え、遂行することに集中します。

 

しかしその際、「目先の相続がやり過ごせればいい」という考え方では不十分です。税理士には、顧客の置かれた条件や希望を考慮しながら、一次、二次、ときにはその先の相続までを意識する力が必要です。

 

先の先を意識すると、たとえば「この方は自分がもともと所有している土地に物件を建てたいとお考えだけれど、相続が終わったあと、売却が厳しくなりそうだ。それよりも、きちんと稼働している物件を探してそれを利用したほうがいいな。そうなると、それを説明してなるべく納得してもらい、折衷案を模索しよう」といった〝その人がもっとも満足できる解〞が見えてきます。

配偶者の生活も考えた「二次相続対策」が必要

私がこれまで手がけた案件から、いくつかの例を挙げてみましょう。

 

ケース①

 

たとえば、資産家Aさんの場合。Aさんと配偶者は高齢で、子が2人います。Aさんが亡くなり相続が発生すると、通常は一次相続で配偶者に大半の財産が渡ります。しかし、その時点ですべての財産を子に渡してしまったほうが、相続税は大幅に減額できるのです。

 

Aさんの配偶者も高齢ですから、Aさんと配偶者の方の判断次第で、そう遠くないうちに来る二次相続の手間を省くこともできます。そのため、配偶者が財産を受け取らず、子に相続させるケースはよくあります。

 

しかしその際、配偶者のその後の生活についてもきちんと考えておかなければなりません。不動産ならまだしも、現預金もすべて子に渡してしまうと、配偶者に不都合が出かねないからです。

 

ある程度の現預金がなければ、場合によってはそれまでの生活レベルを落とさなければならなくなります。しかし生活レベルというのは、上げるのは簡単でも、落とすのはなかなか難しいものです。

 

また、孫にお小遣いをあげたい、何かしてあげたいという想いは少なからずどなたでもあると思いますが、現預金に余裕がなければそれも難しくなります。

 

相続税が低くなることだけを考えて「このくらいなら生活できる」というギリギリの額ではなく、その人の環境に応じて先を見据え、一次相続と二次相続のバランスを考える必要があります。

 

一次相続と二次相続でどのように財産を分配していくかは、いくつもシミュレーションをして提案しますので、それをもとに検討してもらいます。その中から、税金がなるべく低くて、皆が納得できる分割方法を選んでもらうのです。

 

下記図表にシミュレーションの簡単な一例を挙げましたので、このようなイメージで考えていただければと思います。

 

[図表]一次、二次の相続を見据えたシミュレーション

一次相続で税額が低い①、②、⑤、⑥は二次相続と合計すると2000万円を超え、一次相続で税額が高い③、④、⑦、⑧は二次相続と合計すると税額が低くなる
一次相続で税額が低い①、②、⑤、⑥は二次相続と合計すると2000万円を超え、一次相続で税額が高い③、④、⑦、⑧は二次相続と合計すると税額が低くなる

本連載は、2013年11月27日刊行の書籍『大増税時代に大損しない相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

大増税時代に大損しない 相続税対策

大増税時代に大損しない 相続税対策

北村 英寿

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税対策を成功させるためには、実行に移してからの最終的な「出口戦略」まで考える必要があります。 「出口戦略」とは、相続税対策のために購入した賃貸不動産の最終的な顛末を考えることです。 相続発生後は、基本的にそ…

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