(※写真はイメージです/PIXTA)

社長が指示をすればするほど組織変革は進みません。形成期、混乱期、統一期、機能期を経て、初めて「目標を共有したチーム」に進化します。経営者たちが抱える「組織変革」の悩みを組織改革コンサルタントの森田満昭氏が解説します。

社長が指示をすればするほど改革は失敗する

■キーパーソンを含めたチーム戦略

 

従来型の組織でやってきた経営者にとっては「キーパーソンをどう活用するか」という思考になりがちですが、認知を変えて「キーパーソンが活躍するための環境をどうつくるか」ということに視点を向けるべきです。キーパーソンを直接動かすというよりキーパーソンが今なにに困っているのか、どうしたら自分が応援できるのかというところに視点を向ける必要があります。「俺も勉強中だけど、おまえも勉強して頑張ってやってくれ」「必要なことがあったら言ってくれ」と、任せていくのが経営者の役割といえます。

 

そのため経営者が「会社を良くするためにまず朝の5分間はみんなで対話をしよう」「終礼のときも誰か一人に代表で話をさせよう」「テーマはこれ」「15分以上かかったら駄目だ」などと細かく指示を出すのは違います。マイクロマネジメントを続けると、キーパーソンも必ず「社長、次はなにすればいいですか」と行動を確認するようになってしまうのです。日本人は真面目なので言われたことはやります。しかし社長がああしろ、こうしろと言い続けると、いつまでも経っても自走できません。

 

特に一般社員は社長から指示や命令を受けたとき、同時に言い訳を手に入れます。うまくいかなかったときは「社長がやれと言ったから」と言えばいいからです。社長が言ったからやらないといけないし、社長が言ったことをやれば社長からは怒られません。それは組織を変えようというベクトルとは真逆になるので、社長が指示をすればするほど組織変革は進まないのです。

 

■キーパーソンの育て方

 

初期の変革リーダーとなるキーパーソンに向かないのは、自分の世界に閉じこもりがちで共感力が弱い人です。変革のためのアクションを実行する場面では、大きな力を発揮してもらう場合があるからです。資質として真っ先に重視したいのは心のエネルギー、つまり意志の強さです。心のエネルギーが強い人はすでに活発に行動したり発言したりしているはずなので、見つけるのはさほど難しくはありません。

 

また、さまざまなタイプが同時にいてもかまいません。静かに考えるキーパーソン、情熱的に行動するキーパーソン、寡黙に行動するキーパーソンなど、情熱にも激しい情熱と静かな情熱があります。寡黙であっても心のエネルギーが強い人はいます。

 

この時点でのエネルギーのベクトルは、必ずしも仕事に向いているとは限りません。彼らは、次から次へと湧いてくるエネルギーを自分の好むベクトルの方向に放出しています。会社批判でも趣味の世界でも、誰かから頼まれたわけでもないのに自発的に行動しているはずです。ベクトルはどうあれ、エネルギーの絶対的量のほうが大切です。

 

そのため仕事以外の趣味にベクトルが強い人も、キーパーソン候補リストから除外せずに検討したほうがよいです。仕事では共感力が発揮されていなくとも、いざスイッチが入ると大きく変化する可能性があるからです。

 

彼らが頭角を現すタイミングは、そのベクトルと、経営者のベクトルとの重なりが増えたときです。しかし、キーパーソンから上層部にベクトルの方向を合わせにくることはほぼありません。上層部から彼らに働きかける必要があります。これが経営者や幹部としての重要な役割です。

 

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※本連載は、森田満昭氏の著書『社員が自ら考え、動く自走型組織の作り方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

社員が自ら考え、動く自走型組織の作り方

社員が自ら考え、動く自走型組織の作り方

森田 満昭

幻冬舎メディアコンサルティング

売上の拡大、コスト削減、新規事業の創出…「自走型組織」が会社の未来を切り拓く! 組織変革のプロが教える自走型組織の作り方とは──。 自走型組織とは、社員が自ら考え、動く組織のことを指します。多くの経営者にとって…

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