(写真はイメージです/PIXTA)

相続の際に共同相続人全員で遺産の分割について協議する、遺産分割協議のポイントを行政書士法人ストレートの大槻卓也行政書士が解説します。

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遺産分割協議に期限はあるのか?

相続財産を放置し続けることはさまざまな観点から好ましくはありませんが、民法では相続人全員が参加する遺産分割協議に関して、いつまでに成立させなければならないという期限を設けていません。

 

遺産分割協議は相続人全員が出席して話し合う方法の他に、あらかじめ書類による分割案を作成し、各相続人に郵便などで送り、内容を検討して全員の合意を取る方法などがあります。

 

遺贈や相続によって相続財産を取得した受遺者や相続人は、相続税の課税対象者に含まれますが、相続人が配偶者である場合は、「配偶者の税額の軽減」によって相続税をタダにする(あるいは低額にする)ことができます。

 

また、被相続人が事業用や居住用で利用していた土地を遺贈や相続によって取得した場合は、「小規模宅地等の特例」により、一定の要件の下で税額の控除が認められます。

 

これらの特典を受けるためには、相続人や受遺者が申告期限内に控除を希望することを記載した申告書と、添付書類として遺産分割協議書の写しなどを提出する必要があります。

 

したがって、遺産協議書自体に期限はありませんが、相続税の申告期限との関係では上記の特典を受けるため、10ケ月以内に遺産分割協議を成立させる必要があります。

相続人の中に未成年者がいる場合の注意点

遺産を誰にどのように分けるかを話し合う遺産分割協議は、代襲相続人や法定代理人、包括受遺者も含めて相続人全員で行います。1人でも不参加だと協議が成り立ちません。

 

相続人に行方不明の人がいる場合は財産管理人が、未成年者がいる場合は法定代理人が必要となります。

 

一般的には親権者(未成年者の父母または養父母)が未成年者の法定代理人になりますが、親権者も相続人の1人である場合、利益相反行為が生じるため代理人にはなれませんので、被相続人の住所地の家庭裁判所申し立てをして「特別代理人」を選任してもらいます。申し立ては親権者や他の相続人などが行います。

遺産分割協議書の作成は必要なのか?

遺産分割協議がまとまったら「遺産分割協議書」を作成します。作成は義務ではありませんが、後日のトラブルを避けたり、相続税の申告や相続財産の名義変更をしたりするのに必要なので作成をしておいたほうがいいでしょう。

 

また、配偶者の税額軽減の特例などの相続税について特例を受けるには遺産分割協議書が必要です。遺産分割協議書は相続人の数だけ作成し、各自1通ずつ保管します。

 

遺産分割協議にあたっては、相続人全員の合意に基づき、法定相続分などと異なる配分をすることが可能です。

 

また、特定の相続人が相続財産の配分を受けないとする場合、本来は相続放棄の手続きをとる必要がありますが、遺産分割協議によって相続財産を特定の相続人のみが取得すると定めることで、相続財産の配分を受けない相続人について相続放棄と似た状態を作り出すことができます。これを事実上の相続放棄と呼ぶことがあります。

 

その他、相続財産の配分を受けない相続人が、自分に相続分が存在しないことを証明する「相続分不存在証明書(特別受益証明書)」を作成することがあります。

 

相続分不存在証明書には署名と実印による押印が必要で、相続分不存在証明書を作成した相続人は遺産分割協議に参加する必要がなくなります。

 

しかし、相続財産の配分を受けない相続人も、自分の法定相続分の範囲において借金などの債務は承継するため、相続放棄した場合を除いて故人の債権者からの支払い請求に応じなければなりません。

 

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本記事は行政書士法人ストレートのコラムを転載したものです。

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