納付期限までに相続税を納められないときの対応法

前回は、納税額がさらに増える相続税の「ペナルティ」について説明しました。今回は、相続税を納付期限までに納められない場合の対処法について見ていきます。

相続税は現金で一括して納めるのが原則

相続税は現金でまとめて納めなければなりません。すなわち、相続税は「現金一括納付」が原則ということです。たとえば、相続税の額が2000万円と決まれば2000万円を、1億円であれば1億円をキャッシュで納付期限までに納めなければなりません。

 

期限までに十分な納税資金を確保することがどうしても難しい場合には、①物納あるいは②延納という手段も選択肢としては用意されています。

要件を満たせば「物納・延納も可能だが・・・

①物納とは現金ではなく相続した財産(モノ)によって相続税を納めること、②延納とは一括払いではなく分割の形で支払うことです。ただし、これらはあくまでも原則である「現金納付」「一括納付」の例外として位置づけられているものであり、簡単には認めてもらえません。まず、物納、延納を申請する場合、それぞれについて以下のような要件を満たすことが必要になります。

 

①物納の要件

(1)延納によっても金銭で納付することが困難である

(2)物納が認められている財産である

(3)物納の申請期限が到来するまでに、物納申請書に物納手続き関係書類を添付して税務署長に提出する

 

延納の要件

(1)相続税が10万円を超える

(2)金銭で一括して納付することが困難である

(3)原則として担保を提供する(延納税額が50万円未満で、かつ延納期間が3年以下である場合には不要)

(4)延納の申請期限が到来するまでに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出する

 

これらの要件をクリアしたうえで税務署長の許可を得なければならないのですが、許可をすべきか否かは裁量に委ねられています。つまり、要件を満たしたからといって必ず許可が下りるわけではありません。ことに物納については、図表に示したように、近年、非常に認められにくくなっています。

 

【図表 物納の許可件数】

財務省のHPより
財務省のHPより

本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『「相続破産」を回避する地主の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載不動産にかかる莫大な相続税――「相続破産」の実態

株式会社湘南財産パートナーズ 代表取締役

不動産相続関連のセミナーを頻繁に行うなど相続に強い不動産コンサルタントとして精力的に活動中。宅地建物取引士はもちろん、公認不動産コンサルティングマスター相続対策専門士、1級ファイナンシャルプランニング技能士、ファイナンシャル・プランナー(CFP®)、米国公認不動産経営管理士(CPM®)、米国公認商業用不動産投資顧問(CCIM®)、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士など数々の資格を持つ不動産・相続のプロフェッショナル。

著者紹介

「相続破産」を回避する地主の生前対策

「相続破産」を回避する地主の生前対策

加瀬 義明

幻冬舎メディアコンサルティング

2015年1月から実施された相続税増税により、「資金が足りずに税金が払えない」「不動産を手放すしかない」という人が急増しています。不動産の売却によって納税資金を用意できればいいものの、「隣地との境界問題が解決できず…

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