海外資産の相続で発生する「プロベート」にどう備えるか?

前回は、海外資産の相続には生前対策が欠かせない理由を説明しました。今回は、海外資産の相続で問題となる「プロベート」に関する留意点を見ていきます。

財産所在地国での相続手続きは数カ月~10年かかる!?

相続の際に海外資産を持つ場合の最大の問題となるのは、財産所在地国でのプロベート、つまり一連の相続手続きです。

 

もしプロベートになってしまうと、最低でも数カ月から長ければ10年もの間その手続きに縛られることになる可能性があります。時間のロスはもちろんのこと、当然、その間、それに要する費用も負担し続けることになりますし、その間は換金できないため納税資金等を用意しておくことも必要となり、大変な労力と損失が待ち構えているといえるでしょう。

家族等の共有名義「ジョイント・テナンシーで対策

特に、アメリカでは、不動産を持っている場合の相続対策は、プロベートの対応が重要となります。そこで、プロベートを避けるためには、不動産を購入する際にジョイント・テナンシーの形にしておくことが最善の対策となります。ジョイント・テナンシーとして所有していた財産はプロベートの対象とはならないからです。

 

ただし、取得時にジョイント・テナンシーの形にすると、すなわち家族等の共有名義にすると、今度は日本の課税当局からは贈与と見なされ、贈与税の納付を求められる場合があります。

 

例えば、夫が1億円の資金を出してアメリカで不動産を購入しそれをジョイント・テナンシーとします。合有ですので、その時点で1億円の2分の1の5000万円が夫から妻へ贈与を行ったとされます。

 

従って、ジョイント・テナンシーとするためには、それぞれの口座から資金を出す必要があります。ただ、妻には固有の財産がないというのであれば、当初は夫の単独名義で不動産を購入するしかありません。将来においてジョイント・テナンシーにするときには、日本の贈与税が課されないタイミング(両者とも海外に5年超居住する等)を見計らって行うことが必要となるでしょう。

本連載は、2014年9月18日刊行の書籍『海外資産の相続』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「相続対策」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

「海外不動産」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

連載スムーズな相続を実現する海外資産の生前対策

永峰・三島会計事務所  パートナー

公認会計士・税理士。 東京大学文学部西洋史学科卒業。米国ペンシルヴァニア大学ウォートンスクール卒業(MBA)。等松青木監査法人(現監査法人 トーマツ)、バンカーズ・トラスト銀行(現ドイツ銀行)を経て、現在、永峰・三島会計事務所パートナー。

著者紹介

永峰・三島会計事務所 パートナー

税理士。
中央大学大学院商学研究科修了。BDO三優監査法人税務部門を経て、現在、永峰・三島会計事務所パートナー。

著者紹介

海外資産の相続

海外資産の相続

永峰潤・三島浩光

幻冬舎メディアコンサルティング

金融商品や不動産など、海外資産の相続は、手続きが面倒なため、家族の誰も欲しがらないお荷物になってしまうことが多い。ただでさえ複雑な日本の相続税に、国や地域によって異なる税制が絡んでくるため、その処理にも煩わされ…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧