今回は、銀行に融資の返済の遅延やリスケを申し出る際の考え方を見ていきます。※本連載は、株式会社アセットアシストコンサルタントのCEO兼統括コンサルタントを務める大森雅美氏の著書、『銀行から融資を受ける前に読む』(旬報社)の中から一部を抜粋し、中小企業経営者が自社の問題点をいち早く察知し、スムーズな資金繰りと堅実な事業経営を実現するためのポイントを紹介します。

優先すべき順位は「人→もの→金」

優先すべきなのは「人・もの・金」の順。だから、今月、支払いを止めさせてくださいと相談する順序はその逆で、「金・もの・人」。まず金融機関への返済を止めましょう。

 

苦しいときは率直に「支払いを待って」と銀行に言ってください。一ヵ月だけ待ってもらってすむならそれでよし、もし、しばらく資金繰りの困難が予想されるなら、「リスケ」を申し出ましょう。

 

たとえば、一年間、元金を返さずに利息だけの支払いにする。初めておこなわれるリスケジュールは銀行も受けやすいでしょうが、リスケ期間が三年目に入っていたり、リスケ後のリスケの場合は、銀行の対応も厳しいので、元金の一部返済、それがたとえ数千円であったとしても元金返済があるかたちで協力してもらいましょう。

 

初めに銀行を止めるなんて言いにくいとか、できないと思い込んでいる社長もまだまだいますが、事業の本質として、事業で出た利益で、まず自分や従業員、その家族の暮しを確保する。つぎに、材料の仕入れ費、機材の購入やメンテナンスなど必要な「もの」の手当てをする。そして、税金を払ったあとの残った金額を借入金の返済に回す。こういうお金の流れの優先順位を変えてはいけないのです。

 

本質というか、原理原則を外せば会社と事業そのものが崩れてしまいます。あくまでも事業を続けるということを第一に考えましょう。くれぐれも、借金返済を第一に置かないように。

長期的に支払いを止めることも可能?

お金でビジネスをしている銀行などは、業績が回復するまで待ってくださいと、長期的に止めることができます。「もの」は、仕入れ先などに「ごめん、来月にして」とか、「三ヵ月先には、大きな金額が回収できる見込みがあるから、そこまで待って」と、短期的に止めることができる。

 

「人」は、いわば事業そのものです。「人」がいなくなっては、事業はなりたちませんから、本来止めるわけにはいかない支払いなのです。

 

お金が足りないなら、どこに支払猶予をお願いするのか。長期的に金融機関にお願いするのか、短期的に仕入れ先とか取引先にお願いするのか。この采配さえしっかりやれれば、一時期、かなりの資金ショートが生じても倒産しません。少なくとも、先ほど出てきた黒字倒産は十分に防げます。

 

売上げがあるのに、たった一時期だけ支払いができないといった場面で、もう倒産を考えたり、逃げる方向に走ったりする社長が多いのです。ここで書いていることを実践すればよいのです。どうしても上手く行かない、納得できないという方は、私のところまで相談に来てください。恥ずかしくて「今月払えない」って言えないなら、私が一緒に言いに行きますよ。私の今までの経験では、断られ、潰されたことは一度もありません。

銀行から融資を受ける前に読む

銀行から融資を受ける前に読む

大森 雅美

旬報社

事業が難しい状況になれば、誰でも憂鬱でうなだれてしまうものです。ですが、ここで差が出ます。この本なら、うなだれずに、顔をあげて前に進む心構えと考え方を持てるでしょう。 日常的なことから、いざという時に役立つ知識…

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