(※写真はイメージです/PIXTA)

日経平均株価は3日続落した。4度目の緊急事態宣言が出された東京都の新型コロナウイルスの感染者数が急増している。東京オリンピック・パラリンピックの開幕を7月23日に控え、経済活動の正常化が一段と遅れるとの見方もあり、売りが先行しているようだ。今後、株価はどう動いていくのか。「株のお姉さん」として親しまれる雨宮京子氏が株価が下落相場でもあなたの資産を守り、逆に増やすという「株の売り方」の極意を明らかにします。本連載は雨宮京子著『世界一わかりやすい株の売り方』(フォレスト出版)より抜粋し、再編集したものです。

株主優待目当てに株式投資を行う人も少なくない

株で儲ける方法は、キャピタルゲイン(=売却益)とインカムゲイン(=配当と株主優待)の2つがあるのはご存じかと思います。バブルの時代は、ほぼ株の儲けはキャピタルゲインと言える状態でした。以前の日本企業は株主軽視の傾向が強く、配当が著しく低かった一方で、株価が面白いように上がったためです。

 

ところが、外国人投資家が日本の株式市場でメインプレーヤーになるにつれ、モノ言う株主が増加。企業は株主に向き合うようになり、株主に利益を配分する配当金も手厚く出すようになりました。一時は死語と化していた「配当利回り」も、今では立派な投資する際の指標として通用するようになっています。

 

他方、株主優待ですが、配当金を出し渋っていたのに対し、古くから優待制度に力を入れる企業が少なくありませんでした。配当金は利益の配分ですが、株主優待は投資家に対するお礼、会計上はコストとして反映されるため、正確には〝儲け〟と言うことはできないかもしれません。ですが、タダでもらえて経済的にも役に立つことを考えると、儲けと言っていいでしょう。

 

よほど業績が悪化しない限り、投資家に向き合うために継続する企業が多く、なかにはとても値打ちがあり、利回りに換算すると、大変お得な優待制度もあります。そうしたことから、優待目当てに株式投資を行う人が少なくありません。

 

自転車に乗って株主優待券を使いまくる、元将棋棋士で投資家の桐谷広人さんが、株主優待を活用したハッピーライフをテレビや雑誌で紹介したことも、優待狙いの買いを活発化させた背景にあると思います。

 

さて、株主優待ですが、どうすればもらえるかというと、決算期日(上半期と通期の最終日、あるいは通期の最終日)に株主名簿に記載された投資家に贈られます。たとえば、3月期決算の企業であれば、3月31日現在で株主になっていなければなりません。年2回優待を実施している企業であれば、これに9月30日が加わります。つまり、それまでに株主になっていればいいわけです。

 

その権利が確定するのは、3営業日前。配当金も同じで、これを株式市場では「権利付き最終日」と言います。「どうしても、あの株主優待が欲しい」と思いながら、権利付き最終日の翌日に買うと、年2回実施企業なら半年間、年1回実施企業であれば1年間待たなければなりません。

 

そうしたことから、株主優待を狙った投資家が多く、権利付き最終日当日はもちろん、その直前に株価が上昇する銘柄があります。優待だけを狙う投資家とすれば、権利だけ取って、翌日の権利落ち日(配当金については、株価に反映するため、その分、株価が安くなるので、それを権利落ちという)におさらばすれば目標は達成。なので、とりあえず直前に買って、株主優待の権利をゲットしてすぐに売る投資家が多く、その前後で株価は上下に振れやすくなります。

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世界一わかりやすい株の売り方

世界一わかりやすい株の売り方

雨宮 京子

フォレスト出版

「株の売り方」について解説した本です。 普通、株式投資というと「株を買う」 、値上がった株を売って儲ける、または配当や株主優待を得るというものですが、本書は「株を売って儲ける」ということに重点を置いています。 …

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