平成27年の税制改正での相続税基礎控除額引き下げにより、相続税は身近なものとなりました。とはいえ、対策の必要性を理解していても、何をすればいいのかわからないという方は少なくありません。しかし、そこで安易に人任せにしたり、情報不足のまま事に当たってしまうと、取り返しのつかない失敗をしかねません。フジ総合グループ・株式会社フジ総合鑑定の代表取締役、藤宮浩不動産鑑定士が解説します。※本記事は書下ろしです。

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相続対策のカギは、財産の棚卸しと問題点の洗い出し

平成27年の税制改正で相続税の基礎控除額が引き下げられ、課税対象となる範囲が広がりました。相続税を身近に感じる人が増えたと同時に、相続対策の重要性が注目されるようになりました。とはいえ、想定される相続税を正しく算出し、ご自身にぴったりの相続対策を実行されている方はほんの一握りしかいません。

 

相続対策を検討しているものの、「なにから始めたらいいのかわからない」「たくさんあってどれがいいのか選べない」という方が多く、なかには「相続税がかかるのかどうかも分からない」という漠然とした不安を抱えている方も少なくありません。

 

ご自身にとって何が最適か分からない状態で対策を実行したとしてその対策が最適なものでなければ、遺産分割時のトラブルの原因や、さらには相続税の払い過ぎに繋がってしまう可能性もあります。まずは相続税がいくらかかるのかを正しく把握するために、財産の棚卸しと問題点を洗い出し、「見える化」することが重要です。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

税額に数千万円の開きも!?「土地の評価」の重要性

相続財産において、「土地」の割合は約4割と大きなウェイトを占めています。このため、的確な土地の評価額を導き出すことは、適正な納税額を算出する鍵として大きな役割を果たします。しかし、土地の相続税評価額を算出することは一般に難しく、さらに、的確に算出するのは経験とノウハウが必要になります。なぜなら土地は個別性が高く千差万別、ひとつとして同じものはないからです。

 

例えば傾斜地や不整形地、道路と高低差のある土地、高圧線下にある土地、お墓のそばにある土地など、同じ面積であっても条件が異なります。その上、都市計画法や建築基準法などの不動産関係法規や、借地権や底地といった権利関係が絡むことも多く、その一つでも見落とせば、的確に評価することはできません。案件によっては、土地評価次第で数百万から数千万円もの評価差が発生することもあります。

 

課税対象者割合の増加に伴い、建設業者や開発業者、保険会社、金融機関等、さまざまな企業が相続対策を意識した商品やサービスを打ち出すようになりました。業種によって提案は多種多様ですが、それぞれの得意分野に偏った提案になることが少なくありません。また、提案に伴う相続税の無料試算サービスにも注意が必要です。

 

無料の試算ではコストの関係でどうしても土地の現地調査や役所調査など詳細なチェックを行うことができないため、大きな減額要素を見落としている場合があります。予想相続税額が実際と大幅に異なれば、当然、行うべき相続対策も変わってきます。特に不動産は評価額の大きい財産ですので、土地をお持ちの方は、その評価額をできるだけ正確に把握すべきです。

 

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