競争の苛烈さで知られている「美容業界」へ飛び込んだ、証券会社元ディーラー。会社での意に沿わない業務に嫌気がさし、個人トレーダーとして独立しましたが、その後、ある人物との縁で畑違いの美容業界へと飛び込みます。業界の実態を知ったとき、旧態依然としたスタイルに驚くとともに、勝機があると確信。まずは会社を立ち上げ、その後美容室1号店をオープンさせ、美容室の複数経営に乗り出したのですが…。

美容室経営の傍ら、証券会社からセミナー講師の依頼も

筆者:証券会社でディーラーとして勤務後、営業部へ転属。成績を残すが、顧客の意に沿わない商品を販売するのが心苦しく、その後個人トレーダーとして独立。ひょんな縁から美容業界へと飛び込むことに。
田中さん:筆者を美容業界へといざなったキーマン。

 

2014年4月にOXY株式会社を設立し、その後美容室CIEL1号店となる、天六(大阪、天神橋筋6丁目)の開店を目指して準備しつつも、筆者はトレーダーとしても活動していた。2014年の終わりまではデイトレーダーとして積極的に取引をしていたが、自分で美容業界を調査して、事業の形態を考え、広告や備品の発注もするので、2015年は徐々に集中してデイトレードで稼ぐ時間が取れなくなっていった。

 

本格的にデイトレードをやっていた2013年及び2014年は、200万円の資金を元に2年間で5000万円ほどの純利益を得ることができた。

 

トレードの利益とは別に、この年、トレーダーとしての筆者の世界はさらに広がった。証券会社からセミナー講師のオファーがくるようになった。

 

2013年から始まったアベノミクスの波に乗って、億近い利益を上げているトレーダーはたくさんいた。それでも筆者のようにブログやツイッターで自分の取引を毎日詳細に公表している人は少なかったため、筆者のSNSは自分の取引の参考にと多くの人が閲覧してくれた。そしてブログのランキングが常に上位をキープできていたこと、顔出しをして、経歴を公表するようになったことで証券会社からも声がかかるようになったのだ。

 

投資家向けのセミナーには有料セミナーと無料セミナーの2種類がある。有料セミナーを開催するのは俗にセミナー屋と呼ばれる人たちだ。彼らは「このセミナーに来たら儲かる」「これから上がる銘柄を教える」などのあおり文句を掲げて株取引に詳しくない人を集めている。

 

彼らの目的は、高い参加費を取り、さらに商材を買ってもらって儲けることだ。このような人たちは株取引で本当に利益を出しているか疑わしい。しかし、投資で負けて藁にもすがる思いの人や、簡単に勝ちたいと思う人たちは彼らの誘いに乗ってしまう。いつの時代も騙される人は多い。

 

それに対して証券会社が主催するのは無料セミナーで、参加者にその証券会社が出しているツールを紹介する目的で行われるものだ。だから証券会社は自分たちのイメージを損ねないために、身元や口座の内容、そして取引履歴をきちんと確認し、真面目に取引している人だけを講師として選んでいる。

 

証券会社のセミナーは無料セミナーなので、講演をしても報酬はほとんどでない。それでも証券会社のセミナーの講師に選ばれることはとても価値のあることだ。講師に選ばれることで投資家から信頼してもらえるし、セミナーでは講師同士の交流のチャンスもある。同じように講師に選ばれた人たち――「本物の投資家」――と、親交を深める上でとても有用だった。

壇上でひらめいた「美容室情報をツイッターに載せる」

2014年3月、初めて講師として壇上に立ったときにはものすごく緊張した。テスタさんなど有名な投資家と同じように1時間半講演し、しかもそれがDVDになって発売されるという。

 

プレッシャーを感じつつ、原稿をしっかり握りしめて会場入りすると、そこには約300人の聴衆が座っていて、一斉にこちらに注目してきた。全身の血が全て頭に集まってくる。その時点でそれまで思い描いていたスマートに講演するヤーマンのイメージは砕け散った。とにかく講演を進めなければ、ということで原稿を棒読みだ。口はカラカラで声が上ずる。原稿から目を離してポインタでスクリーンを指すときには、

 

「この、あ、あか、あかまるじるし(赤丸印)をご覧ください」と、思いっきり噛んでしまった。

 

しかしこれも貴重な体験だった。講演会も数回こなすことで大勢の前で話すことにも慣れてきたし、しっかりとした投資家だと認められたことで、ブログやオフ会以外の、さらに広い範囲の投資家の方々とつながることができた。

 

投資家といっても、皆が専業のトレーダーではない。中長期の株の運用をしている人には会社を経営している人、不動産や事業に投資している人も多い。幅広いバックグラウンドを持つ人たちと親しくなれたことで、美容室経営の参考になる話も聞くことができた。

 

自分から世界を広げる努力をすることで、人と出会うチャンスが広がる。自分に返ってくる情報の量も違ってくる。情報量が多くなればそれだけ次の選択をするときに、ブレのない、勝率の高い選択ができるようになる。

 

とにかく情報を集めてチャンスには素早く動かなければならない。それがデイトレーダーをやって世界を広げていった筆者が得た結論だった。これはトレードだけではない。美容室経営についても同じことがいえる。

 

勝負はどうやって情報を集めるかにかかっている。

 

筆者はツイッターを情報収集のツールとして選んだ。投資家時代は情報収集というよりも、自分の取引履歴を記録し、確認するためにブログの更新に力を注いでいた。それでも天六店開店当時、筆者のツイッターには2万人を超えるフォロワーがいた。ただしこの人たちは株取引に興味を持つ人たちで、ほとんどがトレーダーヤーマンのフォロワーだ。

 

今後は美容師さんや美容業界の人たちにフォローしてもらわなければならない。今後は株のつぶやきを控え、美容室に関する話をツイッターでつぶやくことにした。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

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よそ者経営

よそ者経営

山下 拓馬

幻冬舎MC

大手上場企業の安定から飛び出し個人投資家へ転身。 未経験の美容業界でオープンした美容室CIELは、設立5年で全国30店舗を展開する急成長を遂げた。 その成功の歩みから未来への展望まで、すべてを語り尽くす――。 第1章…

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