株式投資をしていると「売り禁」となっている銘柄を目にすることがあります。そもそも「売り禁」とはなんでしょう?  またそのような銘柄とはどのように向き合っていけばいいのでしょうか。説明していきます。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

「信用買い」と「空売り」と「売り禁」

現金や株式を委託保証金として証券会社に差し入れて現金や株式を借り、手持ち資金以上の取引をすることを「信用取引」といいます。そして信用取引の1つに、現金を借りて株を買う「信用買い」があります。借りた現金には返済期限があり、信用買いした株を売ってその返済に充てる方法と、もともと持っているか別に調達した現金でその株を買い取りその返済をする「現引き」という方法があります。

 

もう1つの信用取引は、株を借りてそれを売る「信用売り」です。これは「空売り」とも呼ばれます。この借りた株にも返済期限があり、市場で同数同銘柄を買い戻して返済に充てる方法と、もともと持っているか別に調達した同数同銘柄を返済する「現渡し」という方法があります。

 

信用買いは手持ち資金以上の売却益を得ることが可能であること、空売りは株価が値下がりしたときに買い戻せば最初に売ったときとの差額が利益になることが、主な特徴です。

 

そして、信用買いの決済方法の1つである「現引き」と「空売り」を禁止された銘柄が「売り禁銘柄」です。なお「売り禁」は正確には、「貸借取引の申し込み停止措置」といいます。

なぜ「売り禁」になるか?

ではなぜ、売り禁という現象が起きるのでしょうか? そこでもう少し、信用買いと空売りにおける株式の役割を考えてみましょう。

 

信用買いした株のことを、「買い建玉(たてぎょく)」と呼びます。借りたお金で買った株ですので、その時点でその株は完全に投資家のものとは言い難い存在です。そして、それを売って現金を返すことで初めて清算が済むということになります。

 

一方。その株はもともと持っているか別に調達した現金で買い取って「現引き」することができます。これは、その株を売って現金を清算するのではなく、完全に投資家のものとは言い難いその株を、別の資金で買い取って完全に投資家のものにする行為といえます。また、空売りした株のことは「売り建玉」と呼びます。こちらも借りた株を売って作られた現金ですので、完全に投資家のものとは言い難い存在です。

 

ですから、現引きの時も、空売りの時(空売りのために株を借りる時)も、動くのは株になります。

 

ところが貸す側からすると、現引きで渡せる株が不足しているとき、空売り用に渡せる株が不足している時もあります。そこでそれを禁じるのが、「貸借取引の申し込み停止措置」すなわち「売り禁」なのです。つまり売り禁とは、「もう現引きできる株がないよ」「もう空売りできる株がないよ」という状況だということです。

 

ちなみに、売り禁の前段階で「貸株注意喚起」が出されることもあります(出されずにいきなり売り禁になることもあります)。貸株注意喚起銘柄は、空売り数量が増加していて、今後売り禁になる可能性があることを示唆しています。

 

また、「空売り規制」というのもありますが、こちらは一定条件下での空売りを禁じる規制であり、売り禁とはまた別のものです。

 

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