機能的で広いテントに高級な家具が入り、一流の食事やサービスを受けられる「ハイエンド」なサファリ。野生動物を数多く見られるスリランカでも、この高級志向に加えて、環境にも優しい「エシカル」なサファリが誕生しています。今回はサファリ先進国の南アを見習い、野生動物の個体データを収集する取り組みをお伝えします。

野生動物を個体ごとに識別する南アのガイド

スリランカでハイエンド(高級志向)・ローインパクト(低環境負荷)のサファリ事業を展開するレオパード・トレイル社は、顧客がサファリに求めるホスピタリティとエクスペリエンスのハードルを上げた。それに加えて同社は新たな活動領域を開拓した。それは、野生動物の観測データ収集である。

 

「スリランカのヤーラ国立公園はヒョウの観察に最も適している場所だと誰もが言いますが、南アフリカはさらに進んだ次元に達していることに気付きました。」とレオパード・トレイル社のセラマトュ氏は言う。

 

「彼らは野生動物の個体を認識しているのです。個々に名前をつけ、それぞれを見分ける技術を磨いています。そして、交配の時期を把握し、系統を理解しているのです。サファリで1匹のヒョウを見つけると、南アフリカのレンジャーたちは10秒以内にこれら全てを説明してくれるので、サファリ参加者はそのヒョウをこの地に住むキャラクターとして認識できるようになります。」

思わぬビジネス・チャンスを発見

2014年3月の1か月間、セラマトュ氏はコンピューターにある何百ギガバイトものヒョウの写真を見続けた。アフリカのガイドから学んだ技術を用いて、ヤーラ国立公園の第1区画の3分の1において、56匹の個体を特定できるようになった。

 

データベースを構築し、遭遇したヒョウを特定し、名前をつけ、位置を見つけるために、データ収集のレンジャーたちを派遣した。アプリのグループ機能を用いて、レンジャーたちは互いの目撃情報を更新し、それぞれの個体の記録をつけていった。そして交配の特別な記録をとり、適切な時期に子供を探し、系統情報を集めた。

 

この固体別に記録を付けるプロセスは何層にも重なったものとなり、集積された情報の量と質は野生動物の研究者達の興味を引いた。そして、そのうちの何人かが同社にアプローチをしてきている。単なる楽しみとして始めたことが、利益をもたらす大きな事業になりつつあるのだ。

 

次回、最終回はスリランカのサファリ産業の今後の課題についてみていきます。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年4月に掲載した記事「BIG MONEY FOR BIG GAME – BUT NO DAMAGE」を、翻訳・編集したものです。

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