相続・事業承継 相続対策
連載各種評価減の制度を活用した「相続税」の賢い減額方法【第5回】

土地の分割、使用貸借・・・土地の相続税評価額を下げる工夫

相続税評価遺産分割使用貸借

土地の分割、使用貸借・・・土地の相続税評価額を下げる工夫

前回は、広大地評価の適用を受けることで相続税評価額を下げる方法を解説しました。今回は、土地の分割や使用貸借における相続税評価の引き下げについて見ていきます。

角地を「分ける」ことで遺産分割の評価額を下げる

相続する土地が「角地」である場合、相続税評価額が高くなってしまいます。

 

「角地」とは、二方が道路に面している土地(=二方路)の中でも、図1の土地①のように正面と側面が道路に接した土地のことを指します。

 

一方しか道路に面していなかったり、二方路でも正面と背面が道路に面しているような土地よりも、角地は日当たりが良いことや防犯上でも有利であること、間取りにも自由がきくなど、 利便性が長けていることから相続税評価額も高くなります。

 

そのような角地も遺産分割の仕方によっては、相続税評価額を下げることができます。


例えば、図1の土地②のように三分割することで、ⒶとⒸの二つの土地が一方の道路にのみ面した土地となります。こうすることで、全体の相続税評価額を下げることができるのです。

「使用貸借」でも相続税評価額を下げることが可能

「人に貸している土地」で相続税評価額を減額することができます。土地を人に貸すことで、土地の所有者は借りている人の権利(=借地権)によって土地の自由な利用が制限されます。その制限されてしまう分を考慮して評価減となります。

 

しかし、逆に借りている側の「権利が弱い」がゆえに、土地を誰かに貸していても、その土地を「人に貸している土地」として評価減できない場合があるのです。

 

例えば、親が地主で、所有している土地に子どもが家を建てることがあります。この場合、親子なので土地代を払わないのが一般的でしょう。

 

こういった賃貸関係を「使用貸借」といい、第三者の賃貸関係に比べると、金銭のやりとりがないため、借りる側の権利が弱い関係となります。

 

相続税の評価上は、もし被相続人が相続人である息子に土地を貸していたとしても、「使用貸借」である限り、土地の所有者の自由はほとんど制限されていないとして、「人に貸している土地」としての減額はできません。

 

そのため、「使用貸借」の場合は「所有者が使っている土地(=自用地)」と判断されることが一般的なのです。


まず、図2をご覧ください。これは、一般的な使用貸借の例です。被相続人である父親の土地に、息子が自分で賃貸物件を建築し収入を得ています。契約書などは交わさず、無償で土地を借りています。

 

この場合、使用貸借である以上、息子の土地に対する権利は弱くなります。よって前述通り、被相続人の相続の際、この土地は自用地として評価されることとなります。これが使用貸借による土地の評価方法です。


しかし、このような使用貸借であっても、「人に貸している土地」として評価減が可能になる例外がありますので、以下に二つのポイントをおさえながら順にご紹介します。

 

ポイントというのは、「賃貸物件の贈与」と「家主に家を借りている人(=借家人)に変動がないこと」の2点です。次回の連載で詳しく解説していきます。

本連載は、2015年9月1日刊行の書籍『得する相続、損する相続』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

岡野 雄志

岡野雄志税理士事務所 所長 税理士

相続税専門の税理士。早稲田大学商学部卒業。2005年、横浜市に事務所を設立。開業以来、相続税還付や申告、対策など相続税関連の案件を600件以上手がける。全国各地で332件以上の相続税還付に成功。2014年12月『納めてしまった相続税が驚くほど戻ってくる本』(あさ出版)を出版。2015年2月に新横浜駅の事務所に移転。

著者紹介

連載各種評価減の制度を活用した「相続税」の賢い減額方法

得する相続、損する相続

得する相続、損する相続

岡野 雄志

幻冬舎メディアコンサルティング

2015年の税制改正により、都心部の土地所有者は相続税納税の可能性が高まった。ちまたに溢れる「賃貸建築」や「法人化」などの節税対策は、じつはリスクが非常に高い。目先の節税にとらわれてしまうと資産自体を無駄にしかねな…

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