横浜市在住の資産家の夫婦は、独身の末っ子を跡継ぎと決め、着々と資産移転を行っていました。しかし、末っ子が末期がんであることが判明。不動産の多くをすでに子どもと共有名義にしています。子どもが先に亡くなれば、移転した資産を再び両親が相続することに…。どのような対策を取るべきでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

万全の相続対策のはずが…資産家夫婦から突然の連絡

相続対策ですでに何度も打ち合わせを重ねていた佐藤さんご夫婦から、ある日、急な連絡が入りました。佐藤さんはすでに筆者の会社への相談実績があり、プランの継続をしているお客様です。

 

とても切羽詰まったご様子でしたので、急遽打ち合わせの時間を確保し、くわしく話を聞いたところ、同居する三女の幸子さん(40代・独身)が、すい臓がんステージ4と告知されたとのことでした。

 

 

じつは、佐藤さんご夫婦が筆者のところに相続対策の相談をするきっかけとなったのが、幸子さんでした。相続に気をもむ両親を心配し、相続問題について書かれた書籍を複数購入したそうなのですが、そこに筆者のものがあったのがご縁でした。昨年の春先には佐藤さんご夫婦と幸子さんの3人でセミナーにも参加し、その後プランを契約。つい先日まで計画通りに対策・サポートを進めていたところでした。

収益不動産を引き継ぐ予定だった、独身の末娘

佐藤さんご夫婦には、三女の幸子さんのほか、長女の洋子さん、次女の美香さんの2人の娘さんがいます。長女と次女はそれぞれ大学を卒業後、都内の企業に就職。その後は会社の先輩や同僚と結婚して独立し、いまは他県に生活基盤を移しています。三女の幸子さんは美大を卒業後、ずっと銀座の画廊に勤めていました。佐藤さんご夫婦は独身の末っ子を心配する一方で、ずっとそばにいてくれることを心強く思い、ふたりの姉とも相談のうえ、幸子さんの相続財産が多くなるようプランを立てていたのです。

 

佐藤さんは横浜市港南区に、自宅のほか複数の土地を所有しており、そのうち2つの土地で2店舗のガソリンスタンドを経営しています。ほかにも駅近の好立地に賃貸マンションを建てており、財産は億単位です。

 

現在、ガソリンスタンドは居ぬきのまま賃貸しており、経営の手間はかかりませんが、賃貸収入が入るため法人とし、ご夫婦と幸子さんで会社を運営していました。他県に嫁いでいる長女と次女は、独身の幸子さんが両親の面倒を看る代わり、大半の資産を相続するというプランに全面的に賛成してくれました。また、幸子さん自身も、将来は自分が収益不動産を運営していくと覚悟を決め、経営関連の勉強をはじめたのを見て、筆者も佐藤さんご夫婦も一安心したところだったのです。そんな折に、突然飛び込んだショッキングな知らせでした。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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