マンションの音問題は「遮音材」を使っても解決しない理由

前回は、「最新防犯設備」が必ずしも安全を確保するわけではない理由を説明しました。今回は、「遮音材」を使ってもマンションの音問題を必ずしも解決できるわけではない理由を見ていきます。

床の遮音性能の表示は「ごく一部の音」に対するもの

あれば安心と思いがちなセキュリティ同様、音問題も設備仕様で解決できるものではありません。

 

まず、ひとつ目は、よくマンションの広告で表示されていた床の遮音性能です。表示された性能が高ければ、音は聞こえないと思う人もいるかもしれません。しかし、こうした表示だけで音問題は解決しません。

 

というのは、音の伝わり方は多種多様であり、床の遮音性能の表示はごく一部の音に対するものだという認識が住宅業界全体に薄いからです。

遮音性能に関する質問で販売会社の力量がわかる!?

まず床の遮音性能にはスプーンをフローリングの床に落とした時のようなカツーンという軽量衝撃音(LL値)と、子どもが椅子から飛び降りるようなドスンという重量衝撃音(LH値)の2つがありますが、マンションの広告で表示されている遮音性能はLL値である場合が多いようです。

 

しかし、実際の生活で気になることが多い、子どもがドスドスと踵を床にぶつけて走り回るような足音はLL値では示されない重量衝撃音ですし、人の話し声やCDから聞こえる音楽は床にモノがぶつかる衝撃音とは異なる空気伝播音というもので、チェロやコントラバスのような楽器は床に響きを与えながら音を出しますので、空気伝播音の他に固体伝播音というものを含みます。

 

ですから、マンションの営業マンが音問題への配慮としてLL値という床の性能表示を詳しく説明したとしても、LH値や空気伝播音、固体伝播音に関する性能についてはまったく触れられてはいないわけなのです。

 

その他、音はいわゆる高周波や低周波と言われる周波数帯によっても伝わり方は異なります。

 

つまり、いくらLL値の表示があったとしても住まい全体の遮音性能については、ほぼ何も表示していないに等しいのです。

 

もちろんLL値の高い床はいいものですが、それだけでは、静かな暮らしができるかどうかは判断できないと考えるべきです。モデルルームの営業マンはこの手の話は知らないことも多いので、その会社の力量を測るために質問してみるのもいいかもしれません。

本連載は、2011年3月23日刊行の書籍『本物マンション購入計画』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

株式会社リブラン 代表取締役

1967年、東京生まれ。株式会社大京にて分譲マンション事業用地の仕入を担当。その後、1992年、株式会社リブランへ入社し、2002年、同社代表取締役に就任する。マーケットシェアを奪い合う分譲マンション業界で、同業他社とは同じ土俵で勝負しない経営スタイルを堅持。24時間、音楽漬けを可能とするマンション「ミュージション」の分譲、賃貸事業を行い、新たなマーケットの創造を行う。

著者紹介

連載マンション購入に潜む落とし穴――あなたを惑わす売り手の営業手法

本物マンション購入計画

本物マンション購入計画

鈴木 雄二

幻冬舎メディアコンサルティング

人生最大の買い物を間違えたくないと、慎重に選ぶマンション。しかし、誰もがマンション選びの常識と思っている情報が、実は売り手の都合に塗り固められたものだとしたら・・・。本書の前半では、住み心地よりも効率優先で作ら…

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