二人以上世帯の負債を種類別にみていくと、「住宅・土地のための負債」が全体の9割を超え、平均518万円。勤労者世帯に限ると平均798万円となっています。借入先の内訳は、二人以上世帯で公的機関は58万円、民間機関は448万円。さらに勤労者世帯に限ると、公的機関は87万円、民間機関は691万円です。
さらに二人以上世帯の貯蓄残高の推移を時間軸でみていくと、2008年のリーマンショック後、2010年~2011年に増加(=負債が減少)後、2012年は減少(=負債が増加)。2013年以降は4年連続で増加(=負債が減少)を記録しました。2017年~2018年は減少(負債が増加)し、2019年は3年ぶりに増加(負債が減少)しました。
突出して1世帯当たりの負債額が多いのは?
県民性という言葉がある通り、同じ日本とはいえ、志向は異なります。負債についても同じことがいえるでしょう。前出の調査から都道府県別に1世帯当たりの負債額をみていきます。なお以降については、すべての二人世帯の数値をみていきます。
まず1世当たりの平均負債額で最も多いのは「埼玉県」で906万円と、1,000万円近い負債を抱えています。続くのが「山口県」で794万円、「兵庫県」で787万円、「福岡県」777万円、「新潟県」723万円と続きます。こうしてみていくと、「埼玉県」の負債額が突出している印象です。
一方で負債額の少ないのは「和歌山県」で237万円。「長崎県」259万円、「沖縄県」277万円、「長野県」278万円、「福井県」326万円と続きます。なお全国平均570万円を、18の都道府県が上回っています(図表1)。
また前出のとおり、負債の9割「住宅・土地のための負債」といわれているので、それに限りみていきます。それによると順位の変動があるものの、顔ぶれはほとんど同じで、最も多いのは「埼玉県」で878万円、最も少ないのは「和歌山県」で219万円となっています(図表2)。
「住宅・土地のための負債」が多いということは、持ち家率が高いということでしょうか。みていきましょう。持ち家率の全国平均は84.8%。そのうち最も持ち家率が高いのは「埼玉県」で93.5%。「新潟県」「福島県」「滋賀県」「三重県」と続きます。一見すると「持ち家率が高い」=「住宅・土地のための負債が多い」とみえますが、2つの値の相関係数をみてみると「0.13」で、相関関係にあるとはいえません。購入価格や敷地面積等、さまざまな要素も関係してくると推測できるでしょう(図表3)。
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