新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

日本の転換点となった1995年という年

1995年という年は、後の時代の歴史家から、「日本の転換点」と位置づけられる年になるのではないかと、私は考えています。日本の社会はこの年を境に、価値観が大きく変容し、そのことに伴って、人々の不動産に対する考え方も微妙に変化していったと思われるからです。

 

1995年はバブル経済が終焉し、株価も地価も、それまでの活況が噓のようにおとなしくなり、これからの日本がどのような成長過程を描くことができるか、国民の多くが一抹の不安を感じながら迎えた年でした。

 

その不安な年の船出に、日本列島を直撃したのが阪神・淡路大震災でした。

 

日本の転換点となった1995年、日本列島を直撃したのは阪神・淡路大震災だった。
日本の転換点となった1995年、日本列島を直撃したのは阪神・淡路大震災だった。

 

1月17日早朝、兵庫県南部を襲った大地震は、都市直下型地震となり、神戸市を中心として死者6434人、負傷者4万3792人を数える未曽有の大災害となりました。

 

それまでも、日本各地では頻に地震は発生していたものの、大都市の直下を襲う地震は、1923年の関東大震災以来、人々の記憶からは遠ざかっていただけに、人々が受けたショックは大きなものがありました。

 

大震災からのショックがまだ覚めやらぬ3月、今度は、東京都心の営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線「霞ケ関」駅構内で、オウム真理教による地下鉄サリン事件が勃発します。戦後世界で起こった、初めての本格的な「化学兵器」によるテロ事件であり、世間を震撼させました。

 

この2つの事件は、高度成長期から平成バブルまで、紆余曲折を経ながらも遮二無二成長し、GDPで世界第2位の地位を確保してきた日本の「成功の方程式」に対して、まったく「想定外」の課題を投げつけるものでした。

 

実は、人々の記憶に「嫌な記憶」「忌まわしい記憶」として刻み込まれたこの2つの出来事は、95年から97年にかけて次々と日本に押し寄せてくる「時代の変化の大波」に対する予兆でもあったのです。

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不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

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業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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