お互いに資本を出資することで、よりお互いに利益を出すことに協力的になる資本業務提携。解消するには非常に煩雑な手続きなるというデメリットもあります。資本業務提携を成功させるためには、メリットとデメリットをきちんと知ることが第一歩となります。今回は、資本業務提携について知っておくべき知識を解説します。※本連載では、事業承継を控える経営者に向けて、M&Aの基本を紹介していきます。

資本業務提携とは?M&Aの一つの手法?

資本業務提携とは、資本提携と業務提携両方を同時に行うことをいいます。当事者の片方の会社の株式を取得したり、お互いの会社の株式を持ち合う形の出資手法があります。

 

相手会社の経営権まで取得する買収すると、相手会社が上場廃止になるので、一般的には経営権に影響しないよう「10%」前後の株式をお互いに保有するケースが多いようです。

資本業務提携はM&Aの一つの手法ともいえますが、しかし、資本業務提携は柔軟な業務提携が目的で、買収、合併など、支配権獲得が目的ではありません。

 

資本業務提携には大きく「株式譲渡による資本業務提携」と「第三者割当増資による資本業務提携」の2つの方法があります。

 

株式譲渡による資本業務提携の場合、株式を取得することにより相手に支払った金額に対して、資本業務提携された会社は譲渡益に対して課税されます。株主が個人の場合は「20.315%」の税率で、法人の場合は法人税として大体「30%」前後課税されます。

 

第三者割当増資による資本業務提携の場合、特定の第三者に対して新しい株を発行して、それを引き受ける権利を割り当てられる状態で増資を行います。増資のため譲渡益が生じないので、課税されません。

 

資本業務提携は、相手会社を買収、合併をする目的ではないとはいえ、パートナー会社が自社の株式を所有することになるので、経営権を与えないように「出資比率」について注意しておく必要があります。自社の経営に対する自由度が低下されないよう出資比率を慎重に決めましょう。

関係性が強まる一方で、経営の自由度は下がる

関係を強化し大きなシナジー効果を
関係を強化し大きなシナジー効果を

 

資本業務提携は業務提携よりも、お互いの会社の資本を持つことで、確実な協力関係を築けることができます。運営資金、営業販路、技術力、優秀な人材など様々な観点により経営資源を得ることができ、より大きなシナジー効果を期待することができます。また自社だけで努力するより、自社に足りない資源を補うことによって、事業拡大のスピードが早くなるといえるでしょう。

 

一方で、お互いの会社は独立したままなので、資本業務提携にメリットを感じられなかった場合、都合のいい時に解消することができます。なお、たとえ資本提携を解消しても、業務提携を継続することはできます。お互いの会社にとってベストな組み方を選ぶことができるのも一つのメリットのひとつでしょう。

 

さらに株主構成が安定し、自社にとっては敵対的買収を阻止する対策になることも資本業務提携のメリットだといえるでしょう。

 

資本業務提携のデメリットといえば、経営上の自由度が欠けてしまう点です。自社の10%前後の株式は相手会社が持つことになるので、取締役の解任など経営に対して口出される可能性はゼロではありません。

 

また資本業務提携はいつでも解消ができる一方で、いつ相手会社に株式買収を要求されるかわかりません。一般的には、時価より高い価格で株式の買収を要求されることがほとんどのため、価格交渉や株式の買取資金の準備に時間が大変な場合が多いようです。

 

さらに一般的には、資本業務提携によって株価は上昇するケースが多く、時価総額が小さい会社は資本業務提携することによって、上昇する傾向があります。しかし下落する可能性もあるので、このように株価への影響に注意する必要があります。

 

では最後に、資本業務提携の流れをみていきましょう。下記の(1)~(3)の順に行っていきます。

 

(1)資本業務提携に向けた交渉

 

(2)資本業務提携契約書を作成

交渉で合意ができたら、資本業務提携契約書を作成します。具体的には下記の項目が記載されます。

 

①資本業務提携をする「目的」

②資本業務提携をする「時期」

③トラブルを回避するための「業務内容「役割」

④締結に向けたのスケジューリング

⑤資本業務提携の契約期間

⑥「成果物」「知的財産」などの帰属

⑦「収益配分」「費用」などの割合

⑧機密保持について

⑨支配権に変更があった場合「資本業務提携解消」の記載

 

(3)資本業務提携契約書を作成

契約書の内容についてFIXができ次第に契約書を締結します。自社の利益を損失しないよう、問題点を回避するため、弁護士、公認会計士などの専門家を交えながら作成することをおすすめします。

本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「M&A INFO」の記事を転載・再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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