どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえるだろう。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 今回は取り上げるのは、京王線。20~30代会社員が住みやすい街は?

超過密ダイヤで、ピーク時の運転は団子状態の京王線

団子運転が「名物」の京王線
団子運転が「名物」の京王線

 

「新宿」と八王子市の「京王八王子」を結ぶ京王線。「笹塚」では「新線新宿」から都営地下鉄新宿線に乗り入れる京王新線、「調布」では相模原線、「北野」では高尾線が分岐しているほか、競馬場線や動物園線を抱える。

 

新宿勤務であったり、新宿を乗換駅として利用したりする会社員であれば、居住地を選択する際に有力な候補になるだろう。そこで、京王線の各駅の平均家賃から、沿線の「住みやすい街」を考えてみよう。

 

まず交通の利便性から、各駅を見ていく。平日の通勤時間帯の「新宿」までの所要時間はどうだろうか。京王線は平日の通勤時間帯でも急行などの速達列車が運行されている。各駅停車駅でも急行停車で乗り換えれば、「新宿」に早く着くことができる。各駅を8時に出発した場合、所要時間10分以内とすると「明大前」、20分以内とすると「八幡山」、30分以内とすると「調布」あたりがボーダーとなる。

 

京王線の混雑率は166%(「下高井戸」~「明大前」)。首都圏の鉄道のなかでは低いほうだが、電車の種別によってかなりばらつきがあり、混雑がひどい電車であれば、スマホを見るのも難しいほど。また京王線名物なのが、過密ダイヤによって生じる“団子運転”。「新宿」~「京王八王子」間は、非ラッシュ時であれば40分を切るほどだが、ラッシュ時には平均1時間ほどかかる。居住地を選択する際は、目安の所要時間以上のタイムロスが日常茶飯事であることも、織り込んでおきたい。

 

各駅の平均家賃(駅から徒歩10分圏内/1K~1DK)を見ていこう(図表1)。「新宿」9.88万円から始まり、「初台」では8.18万円、「幡ヶ谷」では7.54万円となる。「代田橋」以西の駅は7万円台を切り、さらに都区を抜けると5万円台となる。

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均給与/月は、20~24歳で23.01万円、25~29歳で26.01万円、30~34歳で29.34万円、35~39歳で32.22万円となっている。企業規模によって平均給与は異なるが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額は、20代であれば18~20万円、30代で22~24万円程度と考えられる。また、手取り月収の1/3以内を適正家賃と考えると、20代会社員の適正家賃は6万~6.7万円、30代会社員の適正家賃は7.4万~8.1万円となる。

 

これをもとに各駅の平均家賃を見ていくと、20代会社員であれば「千歳烏山」以西が居住地選びのスターとなるが、30代会社員であればほとんどの駅が適正家賃内。あとは交通や生活の利便性など、個々の優先順位で居住地を探す駅(街)を決めていくことができる。

 

出所:平均家賃:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(1月17日時点)、各駅より徒歩10分圏内の物件を対象とする
[図表1]京王線各駅の「新宿」までの所要時間と、駅周辺の平均家賃 出所:平均家賃:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(1月17日時点)、各駅より徒歩10分圏内の物件を対象とする

急行停車駅を中心に、駅前の商店街が充実

「新宿」までの所要時間と各駅の平均家賃を見てきたが、実際の暮らしはどうなのだろうか。「新宿」まで30分圏内のエリアを、それぞれ見ていこう。

 

■「初台」~「明大前」

「新宿」まで10分圏内だが、自転車を利用しても「新宿」まで30分あれば出ることができる。もしものことも考えると、非常に利便性が高いエリアである。そのなかで生活の利便性が高い駅をあげるならば、「幡ヶ谷」と「笹塚」の2駅。「幡ヶ谷」の駅前には24時間営業のスーパーがあり、「笹塚」の駅周辺にある2軒のスーパーも深夜1時まで営業と、一人暮らしの強み味方だ。また「幡ヶ谷」には、駅周辺にいくつかの商店街が形成され、飲食店のバリエーションも多い。

 

個性ある街に住みたいというなら「代田橋」もおすすめだ。駅の北側、甲州街道を渡ったところにある「杉並泉明店街」は、商店街再生のために“沖縄化”を試みた商店街だ。街の入り口には首里城を模した街路灯が設置され、沖縄料理店のほか、沖縄のまつわる食材が買える店、沖縄楽器の専門店などが並ぶ。ちょっとした旅行気分を味わえる、東京でもディープな街として知られている。

 

■「下高井戸」~「千歳烏山」

「新宿」から20分圏内となるこのエリアだが、そのなかで推したいのが「千歳烏山」と「下高井戸」。規模の大きな商店街が広がる駅は生活利便性が高く、一人暮らしの強い味方になる。「千歳烏山」であれば「烏山駅前商店街」、「下高井戸」であれば「下高井戸商店街」と、都内でも有数の商店街が駅前に広がる。

 

「烏山駅前商店街」は、チェーン店が全国的に増えるなか今でも多くの個店ががんばっている商店街で、150店ほどが南北1.5㎞圏内に集積する。全国の商店街で展開されている「スタンプサービス」を昭和40年に最初に始めた商店街としても知られている。

 

昭和の薫りを色濃く残す「下高井戸市場」は、生鮮食品や総菜が手に入る地元の人気スポット。また廃館の危機を地元有志が救ったという「下高井戸シネマ」は、都内でも数が少なくなった旧作を中心に上映する名画座で、映画ファンが集うことで知られている。

 

レトロな雰囲気を残す駅前の市場
レトロな雰囲気を残す駅前の市場

 

■「仙川」~「調布」

東京市部に入る、「新宿」から30分圏内のエリア。「仙川」の近隣に「桐朋学園大学音楽学部」のキャンパスがあり、さらに「白百合女子大学」の最寄り駅ということもあってか、街の雰囲気は洗練された雰囲気が漂う。おしゃれなカフェや雑貨店が点在する一方で、200店以上の店が点在する商店街は活気にあふれている。

 

一方「調布」は、近年、駅の地下化に伴う再開発で大きく変わった。駅周辺には「調布PARCO」や「トリエ京王調布」、「西友 調布店」など大型店が集積し、最寄り品はもちろん、買回り品もひと通り揃えることができる。

 

再開発で大きく変わった「調布」駅前
再開発で大きく変わった「調布」駅前

 

京王線沿いで居住地を探す際、考慮に入れたいのは、まず平日通勤時間帯の「新宿」までの所要時間。過密ダイヤによる団子運転、特定列車への乗客の集中などを加味すると、可能な限り「新宿」に近い駅にするというのが、居住地選びの1つの考え方だ。

 

また急行停車駅であれば商店街が充実し、各駅停車駅でも個性が光る街が点在する。比較的、駅周辺の家賃もリーズナブルな路線なので、個々の事情に合わせて居住地が選べるのも、京王線沿線の強みだといえるだろう。

 

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