物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資。資産形成の手段として注目が集まっているものの、事前にリアルな失敗パターンを知ることは必要不可欠です。そこで本記事では、多くの個人投資家にコンサルティングを行い、不動産投資の方法を提案する、株式会社カクセイの平山智浩氏・渡辺章好氏の共著『失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、不動産投資の実態を紹介します。

「将来に備え」新築ワンルーム投資を始めた

【売ってもローンが残る】

 

東京23区内に所有しているワンルームの区分マンションを売却したいと考えています。不動産についてまったく無知な状態で電話セールスを受け、「将来のために」という言葉に押し切られて新築ワンルームを購入したのですが、毎月、数万ずつ持ち出しもあり、負担に思って売却の査定に出したところ、価格が購入時より1000万円以上下がっています。しかも、残債が300万円ほど残ります。300万円払っても売るべきなのか、それとも毎月赤字でも持ち続けたほうがいいのかわかりません。

 

不動産投資の知識はまったくなかった
不動産投資の知識はまったくなかった

 

◆前提として、買値に比べて売値が下がるもの

 

昨今の好況で「売却でキャピタルゲインを得た!」という話を聞くこともあると思いますが、基本、売却価格は下がる方向で見ておきましょう。特に投資用ワンルームといわれる新築区分マンションは、下落幅が大きいという特徴があります。

 

だからこそ、購入時よりも売却価格を低く見積もって、売却時に残債を支払ったとしても利益が残るように、適正価格かつ計画に見合った条件の融資を利用しましょう。

 

利回りの低い新築物件を購入する、またはあまり有利ではない融資条件で物件を購入するのであれば、物件の値段が下がってもローンが返せるタイミングをあらかじめ想定しておきましょう。

 

例えば、それが15年後であれば、その15年間で家賃が維持できる物件なのかどうかをジャッジします。15年も経てば物件価格も下がりますし、周辺に新築物件が建ったりすることもあるでしょう。その辺もしっかりと折り込んでおくのが失敗を回避するコツです。本当に良い投資計画であれば、キャピタルゲインとまではいかなくても、売ったお金できちんとローンが返せて、その間のキャッシュフローは丸儲けとなるのが理想ではないでしょうか。

強引なセールスに押し切られる投資家が後を絶たない

◆損切りしたほうがいいこともある

 

売却における失敗というのは、高い金利で長期のローンを組んでしまって、かつ家賃も下落している状況で発生します。売れば確実に赤字になるから、持ち続けるしかない、もしくは損失を覚悟して売るよりほかありません。

 

物件価格が下がりすぎた場合、また借りているローンが長期でかつ高金利の場合には、売却しても残債が払いきれないこともあります。中には「持ち出ししてでも売る」という人もいますが、大抵は損をしてまでは売りたくないと思います。

 

もちろん、持ち出しの金額によりますが、例えば数百万円ぐらいの持ち出しで処分する方は珍しくありません。こうした失敗事例は地方だけでなく、都内でも見受けられます。そして新たに物件購入を行い、資産の組み替えを行います。これは一つの物件で見れば「失敗」かもしれませんが、組み替え後の物件が優秀であれば「成功」です。不動産投資はこうしてリカバリーすることができるのです。

 

仮に損切りになっても、すでに別の優秀な物件があれば問題ありません。赤字を垂れ流すよりは、切り捨てたほうがよいこともあります。これは株と同じ考え方です。損切りのメリットはほかにもあります。損切りを行うことで債務超過が解消されれば、また新しく物件を買っていくことも可能です。この売却で得るものがなかったとしても、次の道が開くことがあるのです。

 

新築ワンルームを買って後悔している人は多数存在します。強引なセールスに押し切られ、買うときも「買わされている」、売るときも「売らされている」と表現したほうがよいでしょう。仕事上、決済の場で前オーナーにお会いしますが、終始ずっとうつむいたままです。「売って良かったよ、次の物件が買える」。こういった明るいものが、みじんもないのです。それは、ただ業者に物件を売らされているからです。

 

売却でお金が入ってくるといっても、トータルでは損をしているわけですから、精神面でダメージを受けている人もいて、豊かな人生を歩むために始めたはずの不動産投資にもかかわらず、最悪な状態で終わってしまうのです。成功している投資家であれば、売却で300万円のマイナスが出ても、次を見据えた計画を持っています。

 

◆今やるべきことをやり、先に進む

 

ある投資家は、新築で買ったワンルームマンションを売って損切りしました。300万円ぐらいの損失となりましたが、ローンがなくなることによって、その人の融資枠は広がり、選択肢が増える結果となりました。その人はいずれ老後を迎えることになるので、ある程度の実績を今つくっておく必要がありました。この場合、今やるべきことは、売却損を出してでも次の物件に進みましょうという提案を行います。

 

サラリーマン属性は有限ですが、事業実績は無限です。サラリーマンは必ず定年を迎えますが、法人は定年がありませんし死の概念もありません。世代を超えて存在し続けるのが法人です。

 

ですから、たとえその人が80歳になったとしても、事業がきちんと回っている実績があれば、金融機関はその事業にお金を貸してくれるのです。

 

多くの投資家は出口を意識したときに、売値だけにこだわってしまいます。本来は、売ることで手に入る選択肢や、新たな課題といったものに目を向けるべきです。売って確実に儲かるならそれに越したことはありませんが、現実には、いろいろな悩みがあって売りに出す場合もあります。

 

例えば売却で「物件を売るとキャッシュフローがなくなってしまう、次に買う物件が見つからない」という課題に直面したら、「次に買う物件が本当にないのか」探してみることが大切です。こうなると同じ損切りでも、捉え方もダメージも全部変わってきます。その先があるかどうかで、まったく違う結末になります。だから、損切りは必ずしもネガティブなものではありません。

 

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平山 智浩・渡辺 章好

幻冬舎メディアコンサルティング

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