近年のベトナムは順調な経済発展だけでなく、豊富な若手人材や恵まれた天然資源等が注目され、海外から多くの企業や人が集まっています。本記事では、現地で不動産ビジネスを展開する筆者が、加速度的に発展するベトナムの現況とともに、ベトナム不動産市場の見通しを解説します。

若手人材と経済発展のポテンシャルに諸外国が注目

近年のベトナムは、豊富な若手人材と経済発展のポテンシャルが諸外国から注目を集め、多数の企業や人が集まって来ています。

 

2000年代前半、各国が生産拠点として工場を進出させたのを皮切りに、WTO加盟後はITのオフショア開発をはじめとする企業進出も相次ぎました。また、政府(共産党)の国際経済統合の方針のもと、地理的な位置のよさを生かし、自由貿易化に向けて二国間FTA、ASEAN経済共同体、TPP11(環太平洋パートナーシップ)等々、実に13の経済協力協定を締結するとともに、いまも3つの協定の協議が継続中であり、自由貿易の拠点となるべく動きを強めているところです。

 

このように、現在のベトナムは自国の天然資源開発も積極的に行いながら、国際化に向けた動きも加速させるといった、バランスを保った安定的な経済成長を続けているのです。

工場進出等に見る、生産拠点としての魅力

では、生産拠点としてのベトナムには、どのような魅力・メリットがあるのでしょうか。

 

(1)豊富な労働力と安価な労働コスト

 

労働コストは中国、タイ、マレーシアなどのASEAN諸国と比べても非常に安価であり、かつ、人材の気質は勤勉で手先が器用なことが知られています。また、全人口の約65%が40歳未満であり、非常に豊富な労働力があります。そのため、多くの外資企業が工場の生産拠点として進出しているのです。

 

(2)地理的特徴

 

東南アジアの中央に位置し、インドシナ半島の東側海岸沿いにあるため、中国及びASEAN諸国に容易にアクセスができることが特徴です。このすぐれた地理的条件から、今後は中国とASEAN諸国にとって重要な役割を果たしていくことが予想されます。

 

(3)自由貿易

 

ベトナム政府の国際経済統合※1の方針のもと、この地の利を生かし、自由貿易化に向けて二国間FTA、ASEAN経済共同体、TPP11(環太平洋パートナーシップ)、EU-ベトナム自由貿易協定(EVFTA)、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)等々13の自由貿易協定を締結、3つの協定を協議中です。ちなみに、日本・ベトナム経済連携協定(EPA)は、2009年10月に発効されています。日本はベトナムからの輸入品の約95%、ベトナムは日本からの輸入品の約88%を、10年間無税としています。

 

※1 国際経済統合は、ベトナム国内で生産された商品を各国の市場で拡大させること、また各国との貿易や経済関係を強化発展させることを目的としている。

豊富な人口と経済成長に見る、マーケットとしての魅力

直近10年間での経済成長率は平均6%を超えています。高い経済成長率の維持、過度なインフレの縮小、貿易自由化の促進(貿易協定の推進等)、9620万人以上の人口及び30.4歳という若い平均年齢から、マーケットとしての安定成長が見込めるという魅力もあります。

 

中間所得層(世帯所得5,000~34,999US$)の割合は、2000年は約10.4%でしたが、2017年には約38%まで上昇しています。とくに、上位の中間所得層(10,000~34,999US$)の割合が増加しています(出所:ユーロモニター)。

 

また、今後もこの若い労働力がベトナム経済の発展を継続的に支えると考えられ、実際に近年の大都市圏では、共働きの若い世代を中心に購買意欲が旺盛になってきています。これにあわせるかのように、大型のショッピングセンター等の開発も複数進んでいます。

 

豊富な鉱物・海産物等に見る、資源国としての魅力

ベトナムは原油をはじめ、天然ガス、銅、石炭等といった鉱物資源のほか、森林資源、水産資源、水が非常に豊富なことで知られ、「天然資源の宝庫」といわれています。農業分野では、現在でも世界トップの輸出量を誇る農産物があるものの、今後はIT化・自動化を進めてさらなる生産効率化を図り、世界市場への進出を狙います。

 

(1)鉱物資源

 

鉱業は石炭産業が主導して急成長しています。鉱物資源の埋蔵量は豊富で、とくにエネルギー資源や鉄鉱資源が豊富なため、海外のエネルギー大手企業が施設を建設して資源の探鉱を行っています。日系企業では出光興産が合併事業を立ち上げ、現地で製油所を建設し、石油製品を生産しています。石油製品の輸出順位は世界26位です。

 

(2)森林資源

 

国土の40%以上を森林が占めており、森林資源にも恵まれています。これらは家具等の製材品、紙・パルプとしてのマテリアル利用、木質燃料としてのエネルギー利用が行われています。王子製紙は、段ボール工場をはじめとする5拠点で操業中です。

 

(3)水産資源

 

国土の多くが南シナ海に面しており、豊富な海産物が採れるほか、養殖に適した条件も整っています。 最近ではとくに養殖が盛んであり、白身魚(ナマズ)の加工品やエビの輸出が大きく伸び、外貨を獲得する重要な産業となっています。

 

(4)水資源

 

熱帯雨林気候のベトナムは豊富な地下水源を有し、東南アジア最大のメコン川及びドンナイ川等、多くの河川が流れています。また、ベトナムは水力発電事業にも注力しており、2014年の段階ではベトナム全体の発電量の40%以上が水力発電によるものとなっています。

 

(5)農業資源

 

近年では、コーヒー豆がブラジルに続く輸出世界第2位、カシューナッツとコショウは10年以上輸出世界第1位をキープ、米も世界第3位と、農業分野でも世界上位の水準で推移しています。また、政府の農業政策によるIT化や自動化を活用した生産効率化によるASEAN市場への供給だけでなく、世界市場への供給も目論んでいます。

 

以上のことからも、ベトナムは工場の進出といった生産拠点としての魅力だけでなく、国内市場マーケットとしての規模及び成長性への魅力、豊富な天然資源の魅力と、今後も大きな発展が見込まれる要素が多くあります。もちろん、内需・外需の増加にともなって人々が集まり、多くのベトナム企業や外資企業が発展することで、この国の不動産価値も大きくなると考えられます。

 

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