不動産投資は、物件を買った後が肝。どのように管理していくかによって、収益に大きな差が生じます。本記事では株式会社SRコーポレーションで不動産コンサルティングを行う高澤啓氏が、不動産管理の3つの手法と、それらをどのように選べばいいか、説明していきます。

不動産の「賃貸管理」は、大きく3種類

不動産投資をするうえで、賃貸管理にはどういった種類があるのか知っていますか? 不動産管理には、「自主管理」「集金代行管理」「サブリース管理(借上げ保証・家賃保証など)」と、大きく3種類あります。

 

自主管理は不動産賃貸管理会社の力を借りず、自らの力で入居者を募集し、家賃回収や問い合わせ、退去時の対応などを含めて、自ら行うことです。メリットとデメリットは、それぞれ以下の通りです。

 

【自主管理のメリット】

・定期的なコストがかからないため、家賃を丸々もらえる

・自分で入居者を決めることが出来る

・使途不明の請求等が来ない

・リフォーム会社等含め、全て自分で決定できる

 

【自主管理のデメリット】

・入居募集活動をしなければならない

・時間と労力を費やす

・入居者から直接クレームを受ける場合がある

・空室のリスクがある(ネットなどで大々的に賃貸募集ができない場合は特に注意)

 

集金代行管理は、ほとんどの不動産投資家が契約するスタイルです。その多くが家賃の3~5%を集金代行費用と称して、入居者の募集から、管理中の家賃集金代行、退去時の立会いなどを賃貸管理会社が投資家に代わって行います。メリットとデメリットは、それぞれ以下の通りです。

 

【集金代行管理のメリット】

・家賃の〇%という、双方WIN WINな関係で、家賃が高くするメリットが双方にあるため、家賃を高く設定した際にも、協力的な可能性も高い

・募集作業、集金作業、入居者からのクレーム対応、退去時の立会いなど全て代行してくれる

・賃貸管理会社などによっては滞納保証や、家賃保証に切替えることができるオプションもある

・礼金や更新料を貰えるケースがある

 

【集金代行管理のデメリット】

・空室になっても賃貸管理会社が失うものが小さい為、あまり募集に力を入れない賃貸管理会社も多く存在する

・自分では入居者を選べない

・リフォーム費用を含め、請求してくる業者任せの為、請求額に応じるしかないことも多い

・毎月の手数料がかかる(3~5%税別)

 

サブリース管理は、賃貸管理会社が部屋をオーナーから借上げ第三者に又貸しすることをいいます。会社によって呼び方は違う場合や、明確な定義が存在しないことが多く、各会社がオリジナリティを出せるものです。

 

逆をいえば、各社定義が違うものが多く、しっかり見極める必要があります。サブリース契約を破棄した会社がニュースになり、社会問題に発展したこともあるので、選択する際には注意が必要です。メリットとデメリットは、それぞれ以下の通りです。

 

【サブリースのメリット】

・オーナーと賃貸会社とで契約しているため、空室や家賃滞納を気にしないで済む

・入居中の管理や対応は一切関与しない為、ストレスに感じない

・長期的なサブリース契約の場合は安定収入が見込める

 

【サブリースのデメリット】

・賃貸管理会社の契約内容次第では、解約されてしまう可能性もある

・手数料が集金代行に比べると高い(設定家賃の10%~20%程度)

・契約次第では免責期間や、解約に要する期間が異なる為、融通が利かない可能性がある

・礼金や更新料等を受け取ることができない

 

管理の方法で収益に差が…
管理の方法で収益に差が…

不動産の管理方法の「選択基準」は?

不動産の管理方法には、3つの種類があります。どのように選択すればいいのか、判断基準を見ていきましょう。

 

まず自主管理の絶対条件として、募集を自身で行わないといけないので、最初から入居者がいる状態で、なおかつ緊急時に駆け付けられるように自宅付近であることが望ましいです。清掃管理なども含めて、近所であるほうが、管理をする上で便利だからです。

 

また入居者とのトラブルを避ける意味でも、自身の不動産知識があることも大きな条件になります。親せきや友人に貸す場合などは自主管理を選択される方も多いです。

 

他人に貸す以上、入退去時の専門的な対応方法など含めて、自主管理の場合は注意が必要です。また一棟オーナーであれば、立地や建物の構造によっては空室部分を旅館業申請して、旅館業として展開することもできます。こちらは旅館業をメインに扱っている専門家とのタッグが望ましいといえますが、空室対策としても注目されています。

 

物件が自宅周辺になく、信用できる賃貸管理会社で集金代行を活用するといいでしょう。すでに賃貸中の物件に投資する場合には、そのまま管理形態を継承する可能性もあります。

 

また、都市部の人気エリアは適正な家賃設定である限り、借手は付きやすいということもあるため、集金代行が適しています。ただし、常に空室のリスクが付きまとうので、頻繁に入居者が入れ替わるワンルームタイプの単身者向けマンションではなく、入替えの頻度が少ないファミリーマンション物件の賃貸管理に向いているともいえます。

 

サブリース管理は集金代行管理と比べると、取扱いの手数料は上がります。その分収入面では劣るところもありますが、それ以外のメリットで見るとサブリース管理は優秀ではあります。特に戸数が多いマンション・アパートは複数空室になった際に、相場より少し家賃を低めに設定しないと、借手が付きにくくなる傾向があります。

 

またワンルームマンションの入居者は単身者で、学生は卒業、社会人は転勤や結婚を機に退去するなど、入退去のサイクルが早く、空室になる機会が多いので、ワンルームタイプの場合はサブリース管理がおすすめです。

 

また、中古物件でも「現況空室」となっている物件の場合は、いつ借手が付くかはわからない不安が付きまといます。購入時に空室の場合は、サブリース管理契約をおすすめします。

 

さらに長期的運用で考えている方の場合は、どんなに好立地であっても、永久に空室が起こらないということはないことから、サブリース管理も一考するといいでしょう。

 

本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「Estate Luv(エステートラブ)」の記事を転載・再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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