人口減少の局面になり、厳しさが増す不動産投資。今後、どこが投資エリアとして有望なのか。不動産投資には欠かせない要素である「人口」や「不動産取引の現状」などをもとに、検討していく。今回紹介するのは、東京を一周する山手線。

「乗降客が3倍」に増えた山手線の駅は?

一周34.5㎞のJR山手線。全29の駅が設けられ、「鶯谷」「田端」「目白」「新大久保」の4駅以外は、他社局の路線と接続している。1日の平均乗降客は合計約550万人と、まさに首都東京の基本路線といっても過言ではない

 

様々な路線と接続する山手線
様々な路線と接続する山手線

 

山手線は買い物に、ビジネスに、観光にと、あらゆる人を乗せる路線だが、開業当初は貨物線。1885年、後の東北本線の建設に際し、その資材運搬用に「品川」~「赤羽」に鉄道を敷き、東海道本線と接続させたのが始まり。その後、都電の接続が始まると利用者は年々増加し、1903年に「池袋」~「田端」が開業。1919年には中央線、東海道線、東北線の線路をつなぎ、「中野」~「新宿」~「東京」~「品川」~「池袋」~「田端」~「上野」に至る、「の」の字型の運転が開始された。その6年後、「上野」~「神田」の高架線が完成し、以降は現在と同様の環状運転となった。

 

そんな山手線で一番乗降客数が多いのは「新宿」。JRだけでも1日78万人で、私鉄等加えると、350万人にもなり、その規模は世界一である。他の駅も、さすが東京都心の重要路線だけあり、毎日多くの利用客で混雑しているが、長い歴史の中で、各駅、栄枯盛衰がある。

 

2000年と2018年の乗降客数を記した表を見てみよう(図表1)。2000年代だけ見ても、大きく乗降客数を増やした駅もあれば、減らした駅もある。

 

表の左の数字は、JR東日本管内全駅の乗降者数順位(出所:JR東日本)
[図表1]山手線全駅の乗降者数(2018年) 表の左の数字は、JR東日本管内全駅の乗降者数順位(出所:JR東日本)

 

乗降客数を減らした駅の代表が「渋谷」。2008年、東急電鉄東横線と東京メトロ副都心線との相互直通運転が開始されたことが大きい。これにより「渋谷」でわざわざ降りなくても、横浜方面から新宿、池袋方面へアクセスできるようになったのだ。

 

同じく乗降客数を減らしたのが「御徒町」。2000年に都営地下鉄大江戸線の環状運転がスタートし、利便性が向上したことで、徐々に「上野御徒町」駅に人が流れたのが要因と推測される。

 

一方、乗降客数を伸ばした駅の筆頭が「大崎」。2000年の乗降客数は山手線29駅中22位だったが、2018年には10位と大躍進。20年弱で300%以上も伸びた。2002年に東京臨海高速鉄道りんかい線とJR埼京線との相互直通運転が始まり、利便性が格段と向上したことに加え、最も影響が大きいのが再開発であろう。

 

元々「大崎」駅周辺は、1982年に東京都から副都心として位置づけられ、開発が期待されていた地域であった。2002年に都市再生特別措置法に基づき、五反田から大崎にかけての地域が都市再生緊急整備地域に指定されると、オフィスと住居が一体となった街づくりが一気に加速。2007年に「ThinPark」、2011年に「NBF大崎ビル」、2014年に「大崎ウィズシティ」がオープン。今や東京を代表するオフィス街に変貌した。

 

大型のオフィスビルが建ち並ぶ「大崎」
大型のオフィスビルが建ち並ぶ「大崎」

 

同じように乗降客数を伸ばしたのが、「秋葉原」と「品川」。「秋葉原」は、2005年の首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス(TX)の開業により、郊外との結節点としての役割を得た。2005年に「秋葉原ダイビル」、2007年に「秋葉原UDX」と、次々と大型のオフィスビルが誕生したほか、2005年には「ヨドバシAkiba」がオープン。従来通りの家電やアニメ・漫画というディープな世界とビジネスが混在する、独自性の強い街へと進化した。

 

外国人観光客も増え続けている「秋葉原」
外国人観光客も増え続けている「秋葉原」

 

一方、「品川」の躍進で影響が大きいのが、2003年東海道新幹線「品川」駅開業だろう。元々「プリンスホテル」等がある西口側と新幹線車両基地のあった東側(港南口)では大きな格差があったが、2000年代に入って再開発が加速。2001年に「品川インターシティ」、2004年に「品川グランドコモンズ」がオープン。高層のオフィスビルやレジデンスが林立する街へと変貌した。

 

新幹線駅開業を機に大きく変貌した「品川」
新幹線駅開業を機に大きく変貌した「品川」

「品川」「大崎」「秋葉原」は人口増加が続くが…

2000年代に大きく伸びた「秋葉原」「品川」「大崎」。これら3地区の直近の中古マンションの取引状況(図表2)から、駅周辺の不動産マーケットの状況を見てみよう。3地区とも都心だけあり、平均取引価格は高いが、そのなかでも「品川」は、8,000万円弱と群をぬいている。新幹線停車駅というブランドはもちろん、ファミリータイプの物件が多く、金額を押し上げていると推測される。

 

出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
[図表2]3駅周辺の中古マンションの取引状況 出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成

 

一方、「秋葉原」は、物件数が他2エリアの1/3程度と少なかった。直近の不動産取引状況という限定的な結果ではあるが、ほか2地域と比べて物件の選択肢の少なく、不動産投資においてはネックになるかもしれない。

 

次に、駅周辺の将来人口推移をメッシュ分析で見てみよう(図表3~5)。黄色~橙で10%増、緑~黄緑0~10%、青系色で減少を表すが、3駅周辺とも人口増加が見込まれており、不動産投資においてはプラスになるだろう。特に「品川」は、山手線では50年ぶりの新駅「高輪ゲートウェイ」駅が2020年に暫定開業(本開業は2024年)、2027年にはリニア中央新幹線が開業と、インパクトが大きい開発が続く。東京のなかでも、今後、トップクラスの注目エリアだといえるだろう。

 

出所:RESASより作成
[図表3]2015年~2040年「品川」エリアの人口増減率 出所:RESASより作成

 

出所:RESASより作成
[図表4]2015年~2040年「大崎」エリアの人口増減率 出所:RESASより作成

 

出所:RESASより作成
[図表5]2015年~2040年「秋葉原」エリアの人口増減率 出所:RESASより作成

 

最後に、山手線全エリアで将来人口推移のメッシュ分析を行ったところ、ほぼすべてのエリアで人口増加の予測であったが、そのなかで人口減のエリアが見られた。1つが「代々木」~「新大久保」にかけて(図表6)。明治通りと青梅街道沿いを中心に、人口減少あが予測されている。もう1つが「駒込」~「田端」にかけて(図表7)。住所でいうと、北区田端から北区中里にかけて、人口減少が予測されている。

 

出所:RESASより作成
[図表6]2015年~2040年「代々木」~「新大久保」エリアの人口増減率 出所:RESASより作成

 

出所:RESASより作成

[図表7]2015年~2040年「駒込」~「田端」エリアの人口増減率 出所:RESASより作成

 

今後、「東京でも人口減少が見込まれる」と言われているなか、都心であれば問題ないという意見が多い。しかし、これらの地域での不動産投資は、エリアや物件の選定に注意深くなる必要があるといえるだろう。

 

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