値上がりを続ける金価格。本日26日、取引価格(田中貴金属・税込小売価格)は2015年1月以来の最高値をさらに更新し、前日比+100円の1グラム=5,655円になった。今注目が集まる理由は何か?

高値更新!「1グラム=5,655円」に

金価格の高騰が止まらない。26日、取引価格(田中貴金属・税込小売価格)は1グラム5,655円と、前日比+100円の値上がりをみせた。

 

一般的に、金融市場でのリスクが高まっていると金価格が上昇するといわれているが、今回も、大きな市場変動が関係している。

 

7月30~31日に開催された公開市場委員会(FOMC)で、米連邦準備銀行(FRB)がフェデラルファンド金利の誘導目標レンジを0.25%引き下げると発表した。さらに、FRBのパウエル議長は、(明確な言及は避けたが)更なる追加利下げを前向きに検討していることも、今月23日開催の経済シンポジウムで示唆。また、世界各国でも利下げ傾向が強まっている。欧州中央銀行(ECB)は、7月25日の政策委員会において、政策金利を一段と引き下げる可能性を示した。

 

これらの動きと、金価格の関係とは何か。本来、金利水準が低い状況にある場合、投資家は利回りがよい株式などを購入する傾向がある(ちなみに金の場合、インカムゲインがない)。

 

今回、金利水準は下がったが、米中貿易摩擦をはじめとした国際的緊張が続き、株式市場のリスクも高まっている背景がある。結果、安定した金を買う投資家が増え、金価格が上昇している、と考えることができる。

 

なお、金価格の上昇は、米中対立などすべてのリスクを織り込んだ「一時的なもの」との見方も強い。しかし、今月23日には、中国側が対中制裁関税「第4弾」に対する報復措置を発表、トランプ側もすぐさまこれに反応し、第3弾・第4弾として示した追加関税の税率をさらに引き上げると「応戦」した。この様相を見ている限り、米中の対立が直近中に収まりを見せるとは到底想像できない。加えて、「脱ドル依存」を目指す新興国の金買いも、勢いを増している。市場の緊張、及び資産分散の波は、まだまだ続くだろう。

長期的な資産形成をするなら「積立」という選択肢も

ますます金への注目が高まっているが、資産運用をしたい人としては、何をいつ買えばいいのだろうか? 「金投資」と一言でいっても、現物取引(金地金・金貨)、純金積立、金ETF(上場投資信託)などの方法がある。

 

何をいつ買うべきか?
どのようにいつ買うべきか?

 

まず、現物取引。金の延べ棒は想像に難くないだろうが、その場合の購入金額は数十万円を超える上、保管上のリスクもある。一般人にとってはあまり現実的な手法とはいえない。

 

その分、純金積立という手段がある。月々数千円からの積立が可能であり、保管も運営会社に一任するので、盗難などの心配をする必要もない。「細かいことはよくわからない、でも安定的に資産を増やしていきたい……」という人には向いている。ただ、積立のたびに手数料が発生することは頭に入れておこう。

 

金ETFは、金価格と連動したETFに数千円単位で投資できる。金融商品であるため、現物と比べると売買も容易だ。純金積立と比較すると手数料も安めなので、その点は有利といえる。一方で、ドル建ての場合は、為替変動リスクにも注意しなければならない。

 

なお、たいてい価格が高騰したときは、「高値買い」を憂慮する人も多いが、10年・20年のスパンでの長期積立を行うのなら、「買い時」は大きな問題にならない。

 

どんな手段で金投資をするにせよ、「価格が下がらない」という保証はどこにもない。逆に、例えば相続発生時に金価格が跳ね上がり、とんでもない相続税を課される可能性もある。「高騰」の二文字だけに囚われ、このようなデメリットがあることを忘れないようにしつつ、安定した資産運用を心がけたい。

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