株価引き下げ策を講じているのに、本業の業績が好調で、いまひとつ株価の引下げ効果が出てこない。 そんなときは、思い切って会社の高収益事業を切り離してしまう方法もあります。

事業分離後の親会社の規模に注意

会社の売り上げの多くを占めている事業を子会社に分離することで、利益を一気に圧縮。これは、非上場会社が事業承継等で株価を引き下げる際に、割とよく使われる手法です。子会社に分離するのは高収益事業の資産、負債などすべてです。
 
せっかくの高収益事業を本社から切り離すとなると、納得がいかないオーナーもいるかもしれません。しかし、後継者の負担を少しでも軽くするためという割り切りも必要です。
 
注意点としては事業の分離後、親会社は会社の規模を「大会社」のまま保っておくことです。これは、株価の評価方式として、類似業種比準価額方式をとったほうが、より大きな株価引き下げにつながるためです。
 
なぜかというと、「利益」は他の配当や純資産に比べて3倍とされるため、利益の圧縮が株価引き下げに大きく影響するからです。2つ目は、純資産価額方式の場合、子会社株式の評価により、分離後の子会社の株価増加を計算されてしまいますが、類似業種比準価額方式の場合は、子会社株式の評価替えが不要なためです。
 
純資産価額方式でも、株価引き下げには役に立ちますが、類似業種比準価額方式をとったほうがより大きく株価を引き下げられるわけです。

後継者育成など株価引き下げ以外のメリットも

具体例を見てみましょう。

 

資産13億円のX社。株価は総額3億3610万円です。分離しなかった2期経過後の株価総額は4億3350万円。対して、分離したケースでは1億7420万円と、実に2億5930万円も、株価の引き下げに成功しています。
 
スキームとしては、まずいったんは、子会社のほうを後継者に任せてみる。もともと高収益事業ですので、失敗もなく、収益をアップさせることができれば、本人も自信がつきます。また、創業オーナーから事業を引き継ぐには、古参の社員や役員から、とかく後継者は不安視されているもの。子会社の社長として、頭角を現すことができれば、周囲からの納得感も得られます。
 
さらには、創業オーナーの目の黒いうちに、後継者教育もできるなど、子会社化は事業承継において、株価引き下げだけではない多くのメリットがあるわけです。

 

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