農地の相続で活用したい「納税猶予」の特例とは?

前回は、優良不動産の見極め方について説明をしました。今回は、農地の相続で活用したい「納税猶予」の特例について見ていきます。

相続人が農業を続けるのであれば「納税猶予」に

農家で相続財産に田畑がある場合、相続時に特例があります。農地を農業目的で使用している限りにおいては、納税が猶予されます。猶予されるのは、その農地にかかる相続税額のうち、農業投資価格を課税価格とみなして計算した税額を超える部分についてです。

 

納税猶予を受けるには、農業を営んでいた被相続人から農業を後継する相続人へと途切れることなく農業が営まれていること、相続税申告書の提出期限までにその農地を取得することなどの要件を満たす必要があります。


その際、農業委員会に届出をするとともに、所轄の税務署長宛てに期限内申告書と所定の添付書類を提出するのを忘れないでください。われわれ税理士にとっては基本的な手続きですが、出し忘れると納税猶予が受けられなくなる場合があります。「うっかりミス」で許される話ではないので、自分たちでも気をつけましょう。


相続人が途中で農業をやめてしまった場合には猶予は取り消され、ただちに相続税の納税をすることになります。

納税が「免除」される条件とは?

次のいずれかに該当することとなった場合には、納税が免除されます。実際に農業を営んでいるかどうかは、農業委員会や税務署が定期的に確認に来ます。

 

①特例の適用を受けた農業相続人が死亡した場合

②特例の適用を受けた農業相続人が、特例の適用を受けた農地の全部を後継者に生前一括贈与した場合

③特例の適用を受けた農業相続人が、相続税申告書の提出期限から20年間、農業を継続した場合(平成21年12月15日前に納税猶予の適用を受けている相続人についてのみ。特定貸付を行った場合を除く)


これからもずっと農業を継いでいくつもりなら、納税猶予は必ず検討すべきです。

本連載は、2014年8月25日刊行の書籍『相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

税理士法人大久保会計 税理士

1974年埼玉県熊谷市生まれ。一橋大学経済学部卒。税理士。これまでに扱った相続案件は事務所として数千件を超え、相続人の立場を考えた相続税対策にノウハウと実績がある。自身も、祖父が埼玉県行田市に60年以上前に開業し、現在は父親が代表社員をつとめる税理士法人大久保会計にて事業継承中。日本政策金融公庫認定農業経営アドバイザー。行田青年会議所会員(2014年現在)。

著者紹介

連載知っておけば親を動かせる、相続税節税50のコツ

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50 のこと

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50 のこと

大久保 栄吾

幻冬舎メディアコンサルティング

額の大きな相続は、しっかり対策をとらないと相続税が大変。だからといって親が生きているうちから子が積極的に相続対策に関与することは「縁起でもない」ということで、なかなか難しい。 本書では親が生きているうちから、子…

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